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金融庁及び証券取引等監視委員会の公益通報制度が機能不全に陥っているとの指摘に関する質問主意書(その2) ←浜田聡提出

今回は(も?)、令和3(2021)年10月8日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。

今回は、以前ご相談いただいた方からのご依頼による質問です。

今年の第204回通常国会で提出した質問主意書↓の続きとなる質問です。

再質問となるので、質問主意書のタイトルを「金融庁及び証券取引等監視委員会の公益通報制度が機能不全に陥っているとの指摘に関する質問主意書」としたかったのですが、再質問主意書というのは、同一国会の中での再質問でないといけないとのことでした。この質問主意書は第205回の臨時国会での提出でしたので、「~に関する再質問主意書」とはせず、前回と同様のタイトルとしました。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

金融庁及び証券取引等監視委員会の公益通報制度が機能不全に陥っているとの指摘に関する質問主意書

 第二百四回国会に提出した「金融庁及び証券取引等監視委員会の公益通報制度が機能不全に陥っているとの指摘に関する質問主意書」(第二百四回国会質問第一〇四号)に対する答弁(内閣参質二〇四第一〇四号。以下「前回答弁」という。)の内容を受け、改めて以下のとおり質問する。

一 前回答弁の一についてに関し、「ファンドの運用における日本生命への不当な利益提供、発注伝票への法令で定められた記載事項の不記載、発注ミスにより顧客に損失を与えたことに対する不適切な対応」(証監委第四二五三号。以下「証監委第四二五三号」という。)について金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)は、調査の結果、被公益通報者に対して、注意、指導、法令違反の指摘、勧告、懸念表明、書面の交付、その他法令に基づく措置等を取ったか。それとも全てにおいて問題行為は一切なかったとの認識か。また、一般論として、調査の結果、公益通報に係る通報対象事実が存在しなかった場合も、「今回の調査結果を踏まえた当委員会の具体的な対応につきましては、守秘義務の関係上、お知らせすることができませんが、当委員会としては、必要な調査を適切に執行することができたと考えております」旨の結果通知書(証監委第九四〇三号)を公益通報者に交付するか、若しくは、通報対象事実が存在しなかった旨を記載した別の文書を交付するのか。

一について
前段のお尋ねについては、個別の事案であることから、お答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、金融庁及び証券取引等監視委員会(以下「金融庁等」という。)において公益通報を受理した場合には、「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ。以下「ガイドライン」という。)に基づき、必要な調査を行うとともに、調査の結果、法令違反等の事実があると認めるときは、速やかに、法令に基づく措置等を行っているところである。
また、後段のお尋ねについては、調査の結果について、検査及び監督の適切かつ効果的な実施、適切な法執行の確保のほか、金融機関等利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、調査終了後、遅滞なく通知することとしている。具体的にどのような調査結果を通知するかについては、個別の事案ごとに判断するものであり、一概にお答えすることは困難である。

二 前回答弁の二についてに関し、「個別の事案ごとに判断するものであり、一概にお答えすることは困難である」との答弁であったが、具体的に、証監委第四二五三号について政府の見解を示されたい。当該公益通報は、公益通報者が、発注伝票、発注記録、不正実行時の会話録音等の証拠資料を用いて公益通報し、証券取引等監視委員会が公益通報として受理した事案である。このように、具体的な法令違反の証拠資料を公益通報者が保有し、かつ、法令違反の内容までも正確に通知した上での公益通報においては、既に公益通報者が具体的な法令違反等の内容を認識している以上、公益通報の調査結果を通知しても、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がないものと考えられる。この場合に、公益通報の調査結果を通知することが、具体的にどのように適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障が出ると考えているのか。政府の見解を問う。

二について
ガイドラインに基づき、検査及び監督の適切かつ効果的な実施、適切な法執行の確保のほか、金融機関等利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、調査終了後、遅滞なく通知したものである。

三 前回答弁の三についてに関し、「公益通報者が解雇その他不利益な取り扱いを受けた場合は裁判で解決を図っていくことなるが、そうした手続きの中で必要があれば適切に対応することとなる」旨の答弁だが、実際に公益通報者が公益通報を理由に解雇された事案である証監委第四二五三号について、証券取引等監視委員会は弁護士法第二十三条の二に基づく照会(以下「弁護士会照会」という。)に対して、「公務員の守秘義務の関係上、内容を明らかにすることはできず、回答を差し控えさせていただきます」として一切の対応を拒否している(証監委第六一〇一号)。日本弁護士連合会は、弁護士会照会について「原則回答義務がある」、「個人情報保護法には反しない」と公表している。

1 前回答弁の三についてにおいて、「必要があれば適切に対応する」と答弁しておきながら、弁護士会照会に対して公務員の守秘義務を理由に、どの部分が公務員の守秘義務に反していたのかさえも通知せずに、一切の回答を拒絶する公益通報者保護に反する行為は、政府としても「適切に対応した」との理解で良いか。

三の1について
御指摘の「一切の回答を拒絶する公益通報者保護に反する行為」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、お尋ねの「弁護士会照会」については、公務員の守秘義務の関係上、内容を明らかにすることはできず、回答を差し控えさせていただいたものである。

2 前記三の1に関し、「必要があれば」とは具体的にどのようなものか。「開示の必要」があればとの理解で良いか。また、その場合、何をもって必要性を判断しているのか。

三の2について
お尋ねについては、個別具体的な状況を踏まえ金融庁等において判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難である。

3 金融庁等では弁護士会が開示、回答、照会等の必要性があると判断している事案に対しても公務員の守秘義務が優先されるのか。そもそも、公務員の守秘義務が優先されるのであれば、「必要があった場合」も開示・対応することが不可能なのではないか。政府の見解を問う。

4 「必要があれば適切に対応する」としておきながら公務員の守秘義務を理由に一切の開示を拒絶するのであれば、公益通報の調査結果を通知していない事案に対しては、弁護士会照会よりも公務員の守秘義務は優先されるという理解で良いか。

三の3及び4について
お尋ねの、弁護士会照会よりも公務員の守秘義務が優先されるのかについては、個別具体的な状況を踏まえ金融庁等において判断するものであり、一概にお答えすることは困難である。

5 二〇一〇年度から二〇二一年度の間に、金融庁等が公益通報に関して弁護士会照会を受けた件数を明らかにされたい。また、そのうち何件を開示したか明らかにされたい。

三の5について
お尋ねについては、関係する資料の保存期間が経過しているものもあることから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成二十八年度以降に金融庁等が受けた公益通報に関する弁護士会照会については、令和三年十月十三日現在一件あり、それは開示していない。

6 裁判所からの文書提出命令であれば、公益通報の調査結果に係る文書を提出するか。

三の6について
個別具体的な状況を踏まえ判断するものであり、一概にお答えすることは困難である。

7 証監委第四二五三号について、公益通報者自身が証券取引等監視委員会に対して行った保有個人情報の開示請求において、「証券取引等監視委員会が作成した文書」が一部開示されている。何故、法定の代理人である弁護士が行った個人情報の保護に関する法律には反しない弁護士会照会において、公益通報者自身が行った保有個人情報の開示請求にて開示された文書までも、一切開示されないのか。

8 何故、保有個人情報の開示請求は公務員の守秘義務に反しておらず、弁護士会照会は公務員の守秘義務に反するのか政府の見解を問う。

9 証監委第四二五三号において、具体的に保有個人情報の開示請求にて開示された文書のどの部分が公務員の守秘義務に反し弁護士会照会では開示できなくなったのか示されたい。

三の7から9までについて
行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号。以下「行政機関個人情報保護法」という。)第十二条に規定する開示請求と、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第二十三条の二に規定する報告の請求とは、制度の趣旨や目的が異なっており、お答えすることは困難である。

10 金融庁は、証監委第四二五三号とは別件で、公益通報者が保有個人情報の開示請求を行ったことにより開示された資料(R二―一五五E)の結論部分に、被公益通報者において過去に法令違反の「事例があった」旨を記載している。金融庁等は、公益通報者に対して一切の法令違反の事実を開示していなかったが、被公益通報者において、法令違反が行われていた事実を別件の開示請求で開示したのであれば、金融庁は公務員の守秘義務に反しているのではないか。また、証券取引等監視委員会が弁護士会照会において公務員の守秘義務を理由に開示を拒否しておきながら、金融庁が被公益通報者における公になっていない(金融庁等が開示していない)法令違反の事実を開示した理由は何か示されたい。また、証券取引等監視委員会ではなく、金融庁に対して証監委第四二五三号に係る資料を弁護士会照会すれば開示されるか。

三の10について
御指摘の開示資料における記載内容は、公益通報者が公益通報してきた内容等を記載したものであり、「公務員の守秘義務に反しているのではないか」との御指摘は当たらないものと考えている。
また、「証監委第四二五三号に係る資料」は、証券取引等監視委員会が保有する資料であり、金融庁は当該資料を保有していないことから、弁護士会照会をされても開示することはできない。

四 前回答弁の三についてに関し、公文書の管理・開示に関して、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関個人情報保護法」という。)について

1 情報公開法第七条には、「行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報(第五条第一号の二に掲げる情報を除く。)が記録されている場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該行政文書を開示することができる」と定められている。この「公益上特に必要がある」とは具体的にどのような状況を想定しているか。政府の見解を問う。

四の1について
お尋ねについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「情報公開法」という。)第七条の規定による行政文書の開示を行うのは、情報公開法第五条各号(同条第一号の二を除く。以下同じ。)に掲げる不開示情報が記録されている場合であっても、行政機関の長が、個別具体的な事実関係を踏まえて、当該情報を公にすることに、同条各号の規定により保護すべき利益を上回る公益上の必要性があると判断するときである。

2 行政機関が公益通報として受理した事案について、公益通報に係る文書は情報公開法第七条に則り、公益通報の調査結果等の不開示情報が記録される場合でも開示されるべきではないか。政府の見解を問う。

四の2について
お尋ねについては、情報公開法第四条第一項に規定する開示請求を受けた行政機関の長において、個別具体的な事実関係に即して適切に判断されるべき事柄であり、お答えすることは困難である。

3 二〇〇〇年度から二〇二一年度に、金融庁等が情報公開法第七条により「不開示情報(第五条第一号の二に掲げる情報を除く。)」を開示した件数について、年度ごとに示されたい。また、それぞれの事案について、どのような事実を「公益上特に必要がある」と判断したのか説明を求める。

四の3について
お尋ねについては、関係する資料の保存期間が経過しているものもあることから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成二十八年度以降に金融庁等が情報公開法第七条に規定する「開示請求に係る行政文書に不開示情報(第五条第一号の二に掲げる情報を除く。)が記録されている場合」に係る開示をしたものは、令和三年十月十三日現在ない。

4 証監委第四二五三号は、被公益通報者における公的年金等を含む顧客資金に損失が出ている金融不正に係る公益通報である。この場合、不特定多数の年金の受益者が被害を受けており、被害拡大防止や損失の補填、国民の知る権利という観点から見れば、特に公益性の高い事案である。この事案について、どのような理由で情報公開法第七条が適用されなかったのか。政府の見解を問う。

四の4について
お尋ねについては、情報公開法第七条の規定を踏まえて適切に判断したものである。

5 行政機関個人情報保護法第十六条には、「行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示することができる。」と定められている。この「個人の権利利益を保護するため特に必要がある」とは具体的にどのような状況を想定しているか。政府の見解を問う。

四の5について
お尋ねについては、行政機関個人情報保護法第十六条の規定による保有個人情報の開示を行うのは、行政機関個人情報保護法第十四条に規定する不開示情報が記録されている場合であっても、行政機関の長が、個別具体的な事実関係を踏まえて、同条各号の規定により保護すべき利益を上回る個人の権利利益を保護するため、当該情報を開示する必要性があると判断するときである。

6 公益通報者が裁判にて公益通報を理由とした解雇や不利益取扱いの無効を争っている場合、明らかに、「個人の権利利益を保護するため特に必要がある」と考えられるが、政府の見解を問う。

7 行政機関が公益通報として受理した事案について、公益通報者が公益通報をしたことを理由に解雇されたり、不利益取扱いを受けたりするなどして、裁判において解雇の無効等が争われている場合、公益通報者の「個人の権利利益を保護するため」に、行政機関個人情報保護法第十六条に則り、不開示情報が記録される場合でも開示されるべきではないか。政府の見解を問う。

四の6及び7について
お尋ねについては、行政機関個人情報保護法第十二条に規定する開示請求を受けた行政機関の長において、個別具体的な事実関係に即して適切に判断されるべき事柄であり、お答えすることは困難である。

8 二〇〇〇年度から二〇二一年度に、金融庁等が行政機関個人情報保護法第十六条により、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認め、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示した件数が年度ごと何件あるか示されたい。また、それぞれの事案について、どのような事実を「個人の権利利益を保護するために特に必要」と判断したのか説明を求める。

四の8について
お尋ねについては、関係する資料の保存期間が経過しているものもあることから、網羅的にお答えすることは困難であるが、平成二十八年度以降に金融庁等が行政機関個人情報保護法第十六条に規定する「開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合」に係る開示をしたものは、令和三年十月十三日現在ない。

9 証監委第四二五三号は、公的年金等を含む顧客資金に損失が出ている金融不正に係る公益通報である。公益通報者は、当該公益通報を行ったことを理由に、解雇されており、現在解雇無効を裁判で争っている。この場合、行政が保有する当該公益通報に係る調査結果等を開示することが、公益通報者の権利利益を擁護することになることは明らかである。この事案に対する開示請求で金融庁等は公益通報の結果、被公益通報者に対する対応等について一切の開示を行っていない。当該公益通報の開示請求において、どのような理由で行政機関個人情報保護法第十六条が適用されなかったのか。政府の見解を問う。

四の9について
お尋ねについては、行政機関個人情報保護法第十六条の規定を踏まえて適切に判断したものである。

10 情報公開法第七条(公益上の理由による裁量的開示)及び行政機関個人情報保護法第十六条と公務員の守秘義務はどちらが優先されるのか。また、優先順位をどのように決めているのか。もし、明確な基準がないのであれば、公務員の裁量や忖度により自由に決められるということか。政府の見解を問う。

四の10について
情報公開法及び行政機関個人情報保護法の規定に基づいて開示を行うことは、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条第一項の「秘密を漏ら」すには該当せず、同条の秘密を守る義務との抵触の問題は生じないものであり、御指摘のような優先順位の問題は生じない。

11 証監委第四二五三号の場合、情報公開法第七条及び行政機関個人情報保護法第十六条と公務員の守秘義務はどちらが優先されるのか。

四の11について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、情報公開法、行政機関個人情報保護法及び国家公務員法の規定に基づいて対応したものである。

五 前回答弁の四についてに関し、是正措置の内容を公益通報者に通知している一件について、企業名を明らかにされたい。また、どのような結果通知をしたか、被公益通報企業の従業員数等の事業規模、株式上場の有無、国家公務員の再就職の件数を示されたい。

五について
ガイドラインにおいて、通報又は相談に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を図っており、企業名を明らかにすることや結果通知を明らかにすることは困難である。

六 前回答弁の五について

1 金融庁等では、弁護士資格を持つ任期付職員を採用する場合、任期終了後の再就職先が既に決定しているか確認を行っているか。

六の1について
金融庁等では、弁護士資格を持つ任期付職員の採用時において、任期終了後の再就職先が既に決定しているかの確認は行っていない。

2 「通報事案への対応に関与する者に対して通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等によって確認を行っている」とのことだが、このような不十分な調査では、虚偽申告の可能性があり、かつ、弁護士の過去の勤務先は法律事務所であり、大手金融機関自身ではないため利益相反を確認できない。金融庁等は利益相反を防止するために、自己申告に虚偽の事実がないか調査を行っているか。また、金融庁等管轄の全金融機関に対して、顧問弁護士事務所及び取締役・監査役等を務める弁護士が所属する弁護士事務所等を開示させ、そこから利益相反関係を排除する必要があるのではないか。政府の見解を問う。

六の2について
利益相反の確認については、公益通報を受理するかを検討する段階において、通報事案への対応に関与する者に対して通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等の確認を通じて、個別の事案ごとに金融庁等において確認を行っている。当該確認により利益相反関係を排除しており、御指摘のような「自己申告に虚偽の事実がないか調査」を行う必要はないほか、「金融庁等管轄の全金融機関に対して、顧問弁護士事務所及び取締役・監査役等を務める弁護士が所属する弁護士事務所等を開示させ」る必要はないと考えている。

3 二〇一〇年度から二〇二一年度において金融庁等に弁護士資格を持つ任期付職員として採用された弁護士が何名おり、そのうち何名が前職と同じ法律事務所等に再就職したのか政府は把握しているか。

六の3について
お尋ねの「二〇一〇年度から二〇二一年度において金融庁等に弁護士資格を持つ任期付職員として採用された弁護士が何名おり」について、採用された人数は、
平成二十二年度十八名、
平成二十三年度十七名、
平成二十四年度十九名、
平成二十五年度十九名、
平成二十六年度十八名、
平成二十七年度十二名、
平成二十八年度十九名、
平成二十九年度十三名、
平成三十年度十八名、
令和元年度十七名、
令和二年度十九名、
令和三年度十三名(十月一日時点)である。

また、「何名が前職と同じ法律事務所等に再就職したのか」については、行政文書の保存年限が三年である再就職の届出で再就職先が把握できる範囲でお答えすると、
平成二十八年度採用者のうち現在までに十九名が退職し、うち再就職の届出により再就職が確認できた者が十名、うち前職と同じ法律事務所等に再就職した者が八名、
平成二十九年度採用者のうち現在までに十二名が退職し、うち再就職の届出により再就職が確認できた者が十一名、うち前職と同じ法律事務所等に再就職した者が十名、
平成三十年度採用者のうち現在まで十六名が退職し、うち再就職の届出により再就職が確認できた者が八名、うち前職と同じ法律事務所等に再就職した者が七名、
令和元年度採用者のうち現在まで八名が退職し、うち再就職の届出により再就職が確認できた者が三名、うち前職と同じ法律事務所等に再就職した者が三名である。

4 任期付職員として採用されている弁護士が、大手法律事務所等に偏っているように見える(法律事務所のWEBページには出向との記載あり)。二〇一〇年度から二〇二一年度に、金融庁等において、弁護士資格を持つ職員としての採用に対して、年間何件の応募(書類の提出)があり、それぞれ何人を採用したのか。また、二〇一〇年度から二〇二一年度に採用された弁護士の直前の勤務先法律事務所名及び当該弁護士事務所から累計でそれぞれ何名採用されているか示されたい。

六の4について
お尋ねの「二〇一〇年度から二〇二一年度に、金融庁等において、弁護士資格を持つ職員としての採用に対して、年間何件の応募(書類の提出)があり、それぞれ何人を採用したのか。」については、応募件数に関する記録は残されておらず、お答えすることは困難である。
また、「二〇一〇年度から二〇二一年度に採用された弁護士の直前の勤務先法律事務所名及び当該弁護士事務所から累計でそれぞれ何名採用されているか」については、同期間に金融庁等に採用された弁護士資格を持つ任期付職員が採用直前に勤務していた弁護士事務所の数は六十三である。このうち、直前に勤務していた職員が同期間累計で十名以上の事務所の数は五、弁護士数は九十八名であり、内訳は、
森・濱田松本法律事務所二十八名、
西村あさひ法律事務所二十三名、
長島・大野・常松法律事務所二十名、
アンダーソン・毛利・友常法律事務所十七名、
TMI総合法律事務所十名である。

5 金融庁等において、弁護士資格を持つ職員として採用された場合、給与は一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(以下「任期付職員法」という。)に基づき支給されるようだが、二〇一〇年度から二〇二一年度までに弁護士資格を持つ職員として採用された職員に対して支払ったそれぞれの役職(課長補佐や係長等)ごとの一人当たりの年間の給与等の総額の平均値及び中央値を示されたい。なお、具体的数字を開示できない場合は、任期付職員法や規程等に則った数値を示されたい。

六の5について
お尋ねの「二〇一〇年度から二〇二一年度までに弁護士資格を持つ職員として採用された職員に対して支払ったそれぞれの役職(課長補佐や係長等)ごとの一人当たりの年間の給与等の総額の平均値及び中央値」については、作業時間の制約から、実際の支給額を基にした数字を算出できないため、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)等にのっとり、一律任期二年とし、通勤手当を除外して算出した数字をお示しすると、課長補佐等の平均値は約八百三十六万円であり、中央値は約七百八十六万円である。なお、室長等については、採用数が少なく個人が特定されるおそれがあり、個人情報に該当することから、お答えすることはできない。

6 一般的に、金融庁等の任期付職員と大手法律事務所の弁護士ではその収入に大きな差があると考えられる。そのような状況において、大手法律事務所の弁護士が自ら望んで大手法律事務所を退職し、任期付職員として金融庁等に転職するとは考えにくい。また、「大手金融機関の取締役や監査役等を務める弁護士の事務所」のWEBページ等には金融庁に出向と明記されており(金融庁への出向が法律事務所の営業上の利点となっている)、実際に、任期終了後に同一の法律事務所等に戻っていることを鑑みれば、任期付職員として採用されている弁護士が、任期期間中及びその前後においても、前職の法律事務所との特別な契約・関係の継続があると考えてもおかしくはない。もし、大手法律事務所の弁護士らが金融庁等の任期付職員となることを前提に特別な契約(有利な条件での再雇用含む)や給与等の差額の補填(再雇用における年収の増額及び昇格・昇給等の埋め合わせ等の全てを含む)、その他福利厚生の継続等を受けていた場合、国家公務員に対する贈収賄若しくは、法令違反、規程違反、その他の財産上の利益供与等に該当するか。もし、このような行為が行われていた場合、政府は問題行為であると認識を示すか。政府の見解を問う。

六の6について
お尋ねの「もし、大手法律事務所の弁護士らが金融庁等の任期付職員となることを前提に特別な契約(有利な条件での再雇用含む)や給与等の差額の補填(再雇用における年収の増額及び昇格・昇給等の埋め合わせ等の全てを含む)、その他福利厚生の継続等を受けていた場合、国家公務員に対する贈収賄若しくは、法令違反、規程違反、その他の財産上の利益供与等に該当するか。もし、このような行為が行われていた場合、政府は問題行為であると認識を示すか。」については、国家公務員は国家公務員倫理規程(平成十二年政令第百一号)により、在職中に社会通念上相当と認められる程度を超えて利益供与を受けることは禁止されているため、その態様によっては該当する場合がある。

7 金融庁法令等遵守調査室のメンバーの任期付職員として採用されている弁護士の前職及び再就職先である森・濱田松本法律事務所では、事務所の弁護士が、金融庁法令等遵守調査室のメンバーの任期付職員となっている期間も、事務所の弁護士紹介のWEBページにて事務所の弁護士として任期付職員の氏名を公表している。さらに、弁護士の福利厚生において、「法人契約を締結しているスポーツクラブを利用できる制度、提携美術館を無料で利用できる制度、保養所、提携レストラン、提携ホテル等を割引料金で予約・利用できる制度、診療とは異なる、自分の健康状態を産業医に相談できる健康相談制度、定期健診時に、がん健診等一部オプションを事務所負担で受診できる制度、「福利厚生倶楽部」による宿泊サービス、レジャー施設、各種エンターテイメント、グルメ、育児介護関連サービス等を割引料金で予約・利用できる制度、配偶者の転勤等により勤務の継続が不可能な場合に利用できるリターン休業制度、一定の条件下で退職者を再雇用する制度」等があると公表している。同様の福利厚生等が他の法律事務所でもあると考えられるが、もし、金融庁等の任期付職員として採用されている弁護士が任期期間中において、前職の法律事務所等の福利厚生のサービス等を利用したか否かを問わず利用できる状況が継続していた場合や前職の法律事務所が福利厚生費を継続的に拠出していた場合、国家公務員に対する贈収賄若しくは特別利益・財産上利益の提供、規程違反、その他、不適切行為等に該当するか。政府の見解を問う。

六の7について
お尋ねの「もし、金融庁等の任期付職員として採用されている弁護士が任期期間中において、前職の法律事務所等の福利厚生のサービス等を利用したか否かを問わず利用できる状況が継続していた場合や前職の法律事務所が福利厚生費を継続的に拠出していた場合、国家公務員に対する贈収賄若しくは特別利益・財産上利益の提供、規程違反、その他、不適切行為等に該当するか。」については、国家公務員は国家公務員倫理規程により、在職中に社会通念上相当と認められる程度を超えて利益供与を受けることは禁止されているため、その態様によっては該当する場合がある。

8 金融庁等は、任期付職員として採用されている弁護士が前職から、特別な契約(再雇用含む)や給与等の差額の補填(再雇用における年収の増額及び昇格・昇給等の埋め合わせ等の全てを含む)、その他福利厚生の継続等を受けているかどうかを採用の段階において確認しているか。確認していないのであれば今後、任期付職員及びその前職及び再就職先に対して確認するか。また、任期付職員として採用されている弁護士に対して保有する全ての銀行口座の写し等を提出させるなどして、財産上の利益供与があったかどうかを確認するか。政府の見解を問う。

六の8について
お尋ねの「任期付職員として採用されている弁護士が前職から、特別な契約(再雇用含む)や給与等の差額の補填(再雇用における年収の増額及び昇格・昇給等の埋め合わせ等の全てを含む)、その他福利厚生の継続等を受けているかどうかを採用の段階において確認しているか。」については、在職中は当然に国家公務員倫理法(平成十一年法律第百二十九号)や国家公務員倫理規程の適用を受け、社会通念上相当と認められる程度を超えて利益供与を受けることは禁止されている。
また、弁護士資格を持つ者に限らず、任期付職員を採用する際には、国家公務員倫理に関する関係法令等の遵守について説明している。
そのため、現在そのような確認は行っておらず、今後も一律に確認を行うことは考えていない。

なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。

右質問する。

相談者の方の意向により、先の質問主意書を出したわけですが、その回答が十分ではなかったとのことで今回再質問となりました。相談者の方にとっても、その他の関係者の方々にとっても、ある程度納得できるような形に落ち着くことを願っております。

最後に、今回の質問に関連する動画を紹介しておきます。

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