以前、医療現場の最前線で新型コロナウイルス感染症の対応をされている内科医と思われる方がTwitter上で大変興味深いツイートをされていました。新型コロナウイルス感染症に関する4択のクイズです。(医療関係者にとって)基礎知識の確認に良いと思いましたので、紹介していきます。
※1問目~50問目までは、以前の記事に加え、さらに改訂版をまとめています(以下のリンクリストは改訂版のみ)。
今回は66問目~70問目を紹介します。
どの選択肢がどれだけ選択されたのかが既に出ていますが、気にせず皆様も答えを考えてみると面白いと思います。
※最多の選択肢が解答とは限りません。
まずは66問目。
【問題66】
妊娠後期の妊婦さんがCOVID-19に感染し、酸素の状態が少し悪くなってきた。この後予想される”嫌な事態”はどれか。①分娩予定の産科クリニックで入院を断られる
②コロナ病床に入院を断られる
③緊急帝王切開を余儀なくされる場合がある
④腹臥位療法が実施できない— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 9, 2021
②コロナ病床に入院を断られる
ほとんどのコロナ病床は、病床を増やすために突貫工事でコロナの受け入れを始めたところが多く、産科のない病院も多く見られます。もともと分娩を扱っていない、常勤産婦人科医がいない病院ですと、「妊婦さんのコロナ陽性はうちは受け入れできません」と断られます。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 11, 2021
まあ、はっきり言って大学病院とか地域の最大規模の基幹病院です。💦そう言うところじゃないと受け入れてもらえないのです。
突然行ったこともない病院に、待ったなしの分娩の受け入れをしてもらえるのか?受け入れできるのか?
これはもう想像を絶する大変な事態です。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 11, 2021
③緊急帝王切開を余儀なくされる場合がある
これもいくつかテレビ等でドキュメンタリーが出たようなのでご存知の方もいるようですが、分娩の時期にコロナ陽性になりますと、緊急帝王切開になります。
子供は保育器に入れて、NICU管理。
親がコロナの急性期が抜けるまで新生児に会うことはできません。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 11, 2021
こうした、妊婦さんの受け入れの困難さ、そして分娩期の感染によって壮絶な修羅場が想定される現場の問題については、もっと多く知られるべきであります。
こうした修羅場が予想されることを知った上で、挙児希望のある方のワクチンの接種について、ぜひ積極的に考えて頂きたいと思います。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 11, 2021
67問目。
【問題67】
妊婦さんがCOVID-19に感染した。治療の上で大きな支障となる問題を選べ。①CTが撮れないので肺炎がどうなってるかさっぱりわからない。
②ロナプリーブ(抗体カクテル療法)が使いづらい。
③レムデシビルが使いづらい。
④母体の低酸素は、当然胎児も低酸素を意味する。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 9, 2021
②ロナプリーブ(抗体カクテル療法)が使いづらい。
⭕️→決して禁忌なわけではありませんが、『治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ』使用という但し書きが付いています。ロナプリーブが元々軽症者用のお薬なので実際には妊婦にはほぼ使わないです。 pic.twitter.com/sgFcUuedRL— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
④母体の低酸素は、当然胎児も低酸素を意味する。
⭕️→これは当然そうなりますね。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
68問目。
⚠️COVIDとしての軽症、中等症、重症の記載としてお考えください。
SpO2はパルスオキシメーターの酸素飽和度の数値のことです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 11, 2021
①CTでCOVID-19肺炎が認められるがSpO2が96%
実はCT取ると大半の例に肺炎像はあります😅。咳とかが無くても影あります。
肺炎あったらその段階で中等症Iにしちゃってると軽症がなくなってしまうこともあって、うちの施設はこれ、軽症扱いにしてます。こんくらいの肺炎だとまだSpO2下がらないです。↓ pic.twitter.com/Oh1kbQhAI4
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
③COVIDによる肝障害で激しい嘔気があるがSpO2が97%
肝障害や腎障害の有無は重症度を分ける目安に使っておりませんで、酸素の値が下がっていないとなると、これだけだと軽症です。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
『コロナは嘘』と言ってる人々がおりまして、コロナなんてほとんどが無症状だと叫び回っておりますが、実はマスコミが作り上げてしまった虚像だと私は思います。
診
断
時
無
症
状が多いのでありまして、ずっと経過中無症状なわけではなく実は診断後に後から症状が出るケースがほとんどです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
特に、デルタ変異株になってからは、小児を除きますと無症状はだいぶん減った印象を持っています。
10-20代の若い人でも、結構な高熱が出ております。
2020年よりも格段に有症状者が増えた印象を持っています。この辺りは、また今後のメタ解析待ちになるかなと思います。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
ああ、そうですね。ワクチン接種2回完了後の人も、確かに症状がほとんどでない陽性者がいますね。😅
これは高齢者でもそうですね。「え?私陽性?」とケロとしてるワクチン接種後のブレイクスルー感染者には何人かお目にかかりました。今後はそこら辺も解析を待ってみるのがいいかもしれません。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
69問目。
【問題69】
現在、病院で行う有症状者の新型コロナ抗原検査やPCR検査は保険適応&公費負担医療である。
受診する場合は初診料のみが3割負担となって発生するが、抗原検査やPCR検査の分の金額は無料である。下記の設問に答えよ。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
【問題69解答】正答:c)
現在、症状があって受診したとか、濃厚接触者及び濃厚接触者の疑いの場合は、抗原検査やPCR検査の検査料は「保険診療&公費負担医療」として患者負担は0円ですが、もちろん検査に使うキットや試薬や検査判断が無料なわけはありません。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
さらに、この5850円分が公費負担医療として0円になっているわけです。
このようにして、発熱外来や保健所実施分のPCR検査は、0円になっております。でも、元々の金額が0円ではないことはぜひ知っておいてください。1人の検査をやるたびに医療費はそもそも19500円かかっているということを。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
そう考えますと、人件費も薬剤費も込みで1回2070円、2回で4140円ですみますワクチンというのがどれだけ経済的にも効果が高いかということをお分かりいただけるかなと思います。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
今後も、私たち日本の質の高い国民皆保険と、いざという時には公費負担医療で、パンデミック感染症を乗り越えるためには、やはりできるだけ
「かかる人数を減らそう=PCRの件数も減らせる」
「重症化する人数を減らそう」ということを考えて、ワクチン接種を捉えていただけると嬉しいと思います。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
重症コロナ1人分の医療費総額=ワクチン約1000人分
PCR検査1回分の医療費=ワクチン4.7人分なのです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
70問目。
【問題70】
新型コロナワクチンについて、接種完了者と未接種者の比較を行った結果、①感染率
②入院率にどれぐらいの差があるか、現在の最新のデータより類推して回答せよ。
(選択肢は下記)— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 12, 2021
【問題70】正答:d)
現在世界的にδ株が蔓延しておりますが御多分に洩れずにδ株に見舞われております米国CDCより先日下記のような報告が出ました。
ワクチン未接種者は2回接種済みの人と比べて⚠️感染率は4.9倍も未接種者が多い!
⚠️入院率は29.2倍も未接種者が多い!https://t.co/cwpvpPUncU— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
反ワクチンの連中が、まるで誰かにそう書けと指示されてるように一字一句、コピペの同じ文章で『ワクチン接種するほどに感染拡大する』と、誤ったデータ解釈をし、拡散しておられます。
(なんなら、『ワクチン接種するほどに感染拡大する』で検索してみてください。同じ文章がいっぱい見つかります)— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
ということで、米国CDCはδ株蔓延下でもこんなに差があるんだよと申されておりますので。😎
健全なみなさんは、CDCの方を信じてください。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) September 19, 2021
ワクチン接種に関する感染率、入院率に関する問題です。特にワクチン接種により入院率は大幅に下がるので、治療病床が足りなくなり医療逼迫をきたしつつある状況においては、ワクチン接種を進めていくことが重要でしょう(特に重症化リスクの高い高齢者・基礎疾患を持っている方々)。
今後も引き続き、問題と解答を紹介していきます。
ところで、今後のNHK党の選挙方針である「諸派党構想」に関する書籍が発売予定となりました。NHK党をよく取材いただいているライターさん(立花孝志かく闘えり、のライターさん)が書かれたものです。もしよければ書店や図書館などで手に取ってみてください。