今回は(も?)、私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。2020年11月13日に提出したものです。
質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。
特徴
質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。
議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。
以前、このような↓質問主意書を提出しました。
NHKによって委託を受け、放送受信料徴収関連業務を行っている業者の業務が弁護士法第72条に抵触するかどうかに関する質問でした。
今回は、NHKとその委託業者の間の契約書に記載されている契約内容が弁護士法第72条に抵触するかどうかについての質問です。
今回紹介する私の提出した質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。
日本放送協会とその委託業者間の業務委託契約書の契約内容が弁護士法第七十二条に抵触するか否かに関する質問主意書
日本放送協会(以下「協会」という。)は、協会への放送受信料支払いなどの金銭債権の回収を、弁護士法人でない委託業者に、業務委託契約書(以下「契約書」という。)の契約内容に基づき、多くの場合は委託業者による戸別訪問によって業務を行わせている。とある協会の委託業者と協会との間で交わされた契約について、契約書の内容の一例を示すと、以下のとおりである。
「1 委託事業名称および内容
(1) 名称 放送受信料の契約収納業務
(2) 内容 次のとおりとし、その詳細は本契約書に添付する仕様書(以下「仕様書」という。)に定める。
① 放送受信料の契約勧奨・取次業務およびこれに付随する事務
② 放送受信料の収納業務およびこれに付随する事務
③ 放送受信料の未収者および一部未納者に対する支払の督励業務および未収受信料の収納業務ならびにこれらに付随する事務
④ 前三号に関連する、公共放送および受信料制度に関する視聴者の理解を促進する業務」
以上が契約書の内容の一例である。
委託業者による放送受信料などの債権回収関連業務にもし制限がないとすると、無資格者が法律事務の取扱いをできることになり、いわゆる反社会的勢力が債権回収関連業務を受託することにもなりかねないため、債権回収関連業務を取り扱うことのできる者に制限をかける法律として弁護士法が存在すると承知している。その中でも、弁護士法第七十二条には、弁護士または弁護士法人以外の者は、報酬を得る目的で法律事務の取り扱いや、周旋をすることを業とすることができない旨の記載がある。弁護士法違反は犯罪であり、弁護士法違反においてなされた契約は無効となるだけでなく、弁護士法違反を犯した者に二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金という重い罰則がある(同法第七十七条第三号)。弁護士でもなく弁護士法人でもない、協会の委託業者と協会との間で交わされた前述の契約書の内容が弁護士法第七十二条に抵触するかどうか、以下質問する。一 前述の契約書に記載の放送受信料の契約勧奨は、弁護士法第七十二条に抵触するか。同じく、放送受信料の取次業務は同法に抵触するか。
二 前述の契約書に記載の放送受信料の収納業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。
三 前述の契約書に記載の放送受信料の未収者および一部未納者に対する支払の督励業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。
四 前述の契約書に記載の放送受信料の未収者および一部未納者に対する未収受信料の収納業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。
五 前述の契約書に記載の公共放送および受信料制度に関する視聴者の理解を促進する業務は、弁護士法第七十二条に抵触するか。
一から五までについて
お尋ねの各業務が弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条の規定に違反するか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断されるべき事柄であり、お答えすることは困難である。なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。
上で紹介した前回の質問主意書と同様の回答でした。予想通りではあります。
以前の記事で、(NHKとは関係ない事例で)弁護士法第72条に関連する過去の判例を紹介しました。
このような判例でした。
事件番号
昭和36(あ)2883事件名
恐喝、横領、弁護士法違反裁判年月日
昭和37年10月4日法廷名
最高裁判所第一小法廷(中略)
判示事項
弁護士法第七二条にあたるとされた事例。裁判要旨
弁護士でない者が報酬を得る目的で、原判示の事情のもとで債権者から債権の取立の委任を受けて、その取立のため請求、弁済の受領、債務の免除等の諸種の行為をすることは、弁護士法第七二条の、「その他一般の法律事件」に関して、「その他の法律事務」を取り扱つた場合に該当する。
上の裁判要旨の赤文字の部分と、今回の質問主意書で紹介した契約書の以下の契約内容は相違がないように思うのですが、いかがでしょうか?
② 放送受信料の収納業務およびこれに付随する事務
③ 放送受信料の未収者および一部未納者に対する支払の督励業務および未収受信料の収納業務ならびにこれらに付随する事務
内閣の回答は期待通りではなくても、この質問主意書を通じて少しでも問題提起ができれば幸いです。
具体的にはこのような↓問題が起こっているようです。
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