外国人による医療費踏み倒しが話題となりました。
新宿区では「11億円の税金」が日本人の負担に…全国で常習化する「外国人の診療費踏み倒し」を放置していいのか このままでは世界に誇る医療制度が崩壊する https://t.co/EIrv20wX4C
— PRESIDENT Online / プレジデントオンライン (@Pre_Online) April 13, 2025
まず、このプレジデントオンラインの記事、リプやリポストにおいて内容への批判が多く、注意が必要です。SNSの利点と思います。
これまた盛大にデマを広めるために、ここまで全力で書ける奴がいるんだなと思ったら山本一郎であったか。 https://t.co/BCaxcmaPV0
— 山田三男 (@mitsuoya) April 15, 2025
この記事なぜか
「外国人(だけ)による未納や踏み倒しを日本人(だけ)が負担してる」という虚構になってるけど、
実態は
「外国人と日本人による未納や踏み倒しを、真面目に税金や保険料を払っている外国人と日本人が負担してる」
だよね。
かなり基本的な認知ミス。 https://t.co/LnIvhYEXmM— Dr. Naoko Hashimoto 橋本直子 (@NaokoScalise) April 14, 2025
アベマプライムでも扱われたようです。
統計データなど事実を踏まえた冷静な議論が必要なのは言うまでもないですが、とは言え新宿区での11億円は大きな額でしょう。
さて、上記問題と関連して、少し前(平成3年=1991年、2025年現在から14年前)に提出された質問主意書を見てみたいと思います。
質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。
特徴
質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。
議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。
また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。
今回紹介する質問主意書と答弁書は、平成3年に草川昭三衆議院議員が提出したものです。
草川昭三さんについて調べたところ、ポイント2点。
・談合三兄弟と揶揄された。
・非学会員の公明党議員。
ちなみに3党国対委員長(公明党は草川昭三)は、小渕政権時代当時流行ってた「だんご三兄弟」をもじって「談合三兄弟」と呼ばれた
草川氏は新進党時代小沢一郎に食ってかかり、あの有名なセリフ「おかしいちゅうならやり直すか」を吐かせた人物 pic.twitter.com/xbiUW9B3uV
— 政局太郎(旧) (@0EcCFMDXqkwB1v5) September 17, 2022
これからは公明党も、
かつて旧公明党時代に採用した、
草川昭三さんや元総務庁長官の続訓弘さんのような知性と良識ある非創価学会出身の優秀な方を政界に送り出す
「国民会議方式」
を復活すべきだと思います。
(たしか過去に衆参で7人いたかと) pic.twitter.com/qulro1fhGX— SKF2021 (@SKF20211) March 31, 2025
ということで、今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。
質問四、五とその答弁に注目です。
近年、観光目的である「短期滞在」や「研修」などの在留資格で我が国に入国し、滞在期間が切れても出国せず、不法に滞在している外国人が急増している。このような中で、不法滞在の外国人(以下「不法滞在者」という。)の医療費負担をめぐる諸問題が各地に起きている。通常、不法滞在者は健康保険に未加入で、病気になった場合、治療費は自己負担となっている。しかし突然、重篤な状態に陥り、高度な治療と長期入院が必要となった場合、本人が治療費を支払うことができないケースが発生している。
最近の例として、不法滞在者が昏睡状態で、ある民間病院に搬入された。CTスキャナーで、クモ膜下出血と認められたため、緊急手術が必要となり、自治体の救急車で別の救急病院(脳外科)に転送。その病院で右破裂性中大脳動脈瘤によるクモ膜下出血の緊急手術を行った。ところが患者の所持するものは、パスポートのみで、治療費の支払ができず、出身国の在日公館に連絡したところ「ビザ切れを放置した日本側の責任で関係なし」との返事であった。また、日本の関係行政機関も不法滞在では対応の方法がないとして保護拒否の態度である。手術で一命を取りとめたものの、数百万円にのぼる治療費が払えず身元の引き受け手もないまま、患者も病院も困り果てているという現状である。
国際社会における日本の責任が論じられる今日、かかる問題が放置されていることは極めて遺憾であり、人道的立場に立った行政が行われることが大切であると考える。
よって次の質問をする。一 短期滞在・研修などの在留資格で日本に入国し、在留期間が切れても出国しない不法滞在者は、何名ぐらいいるのか明らかにされたい。
一について
法務省入国管理局の推計によれば、平成二年七月一日現在、約十万人の不法滞在者が国内に潜在している。二 医師法第十九条には「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」とあるが、治療費を支払うことができない不法滞在者であることを理由に、医師は、診療を拒否できるのかどうか答えられたい。
三 自治体の救急車によって、不法滞在者が昏睡状態で病院に搬入された場合、医師は不法滞在者であることを理由に診療を拒否できるのかどうか答えられたい。
二及び三について
医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第一項の規定による診療に応じる義務の有無を判断するに当たっては、同項にいう正当な事由の有無を個々の事例に即して具体的に検討することを必要とするが、一般的には、治療費を支払うことができないこと又は不法滞在者であることのみを理由として診療を拒むことはできない。四 不法滞在者が治療費を支払えない場合、本人に代わり支払う者がいない限り病院側の負担となる。不法滞在者が急増する中、民間病院に負担を求めるだけでは、おのずから限界があると考えるが、厚生省はかかる現状をどのように把握し、対策を講じているのか明らかにされたい。
四について
御指摘の治療費の支払は基本的には医療機関と患者の間の民法(明治二十九年法律第八十九号)上の債権債務関係として取り扱われるべき問題であるが、御指摘のような事態が生じ、人道上の立場からもその改善について要請があることは認識しており、今後の研究課題であると考えている。五 治療費を自己負担できない不法滞在者が、重篤な状態に陥り、長期入院が必要となった場合、当面の措置として国公立病院が引き受けるべきと考えるが、見解を明らかにされたい。
五について
国公立病院も他の医療機関と同様に診療費により運営することを原則としていることから、不法滞在者に対して国公立病院が病院側の負担で医療を行うという制度を設けることは、不適当と考えている。
なお、不法滞在者は、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)の規定に基づき退去強制の対象となるが、これらの者の医療を国公立病院が行うという制度を設けることは、政府自らが不法滞在を容認しているとの誤解を招くおそれがある。六 現在行政機関には、緊急の治療と援助を必要とする不法滞在者に対する相談の窓口すらない。政府は、人道的立場から不法滞在者に対する医療制度の検討を急ぐべきと考えるがどうか。
六について
我が国に不法滞在する外国人は入管法の規定に基づき退去強制の対象となること、また、これらの者に対し医療保障を行うことが結果として不法滞在を容認し、更にこれを助長させるおそれがあることから、不法滞在であることを前提とした医療保障を行うことは、困難である。七 外務省は、新年度予算案のJICA交付金の中に「日系人就労者調査費」を計上し、いわゆる出稼ぎ日系人に対する相談センターの設置を図っている。一方、不法滞在者は、極めて劣悪な労働条件で、隠れた生活をしていることが、各種の報道によって指摘されているところである。早急に政府機関によって、不法滞在者の相談窓口を設置すべきであると考えるがどうか。
七について
不法就労者等入管法に違反し国内に潜在している不法滞在者の退去強制手続において、これら入管法違反者からの事情聴取を行っており、その申立ての中で賃金の不払又は労働災害があったと認められるような場合には、所要の救済措置が採られるよう、その人権に十分に配慮しているところである。八 国連は、昨年十二月十八日いわゆる「すべての移住労働者およびその家族の権利保護に関する国際条約」を採択したが、政府は同条約の理念をどのように評価しているのか。
八について
いわゆるすべての移住労働者及びその家族の権利保護に関する国際条約は、内容的には問題点が多いと考えるが、移住労働者及びその家族の権利保護を目的とする同条約の理念そのものは理解できる。右質問する。
厚労省は平成三年に、研究課題としている内容(不法滞在者が治療費を支払えない場合、病院負担となること)についてはどのような研究成果が出たのか?気になるので質問してみようと思います。