前回に引き続き、今回も石丸伸二氏の裁判に関する話です。
今回は恫喝訴訟です。
2024/07/03 #広島ニュース #広島 #ニュース
安芸高田市の石丸前市長による「どう喝された」とするSNSでの発言などが名誉棄損に当たるとした一審判決について、二審でも市議の主張が認められました。
前回の記事同様、この件についても、吉峯耕平弁護士がXのポストでまとめています。弁護士の観点として共有します。
実務をよく知っているプロが、裁判資料を読み込んだうえでの解説であり、大変興味深いです。
ちなみに、前回の記事を吉峯弁護士がX上で言及されておりますので紹介します。
浜田参院議員が、私の投稿を取り上げている。
念のために書いておくけど、浜田さんは私の部活(的なもの)の後輩なんだよな。別件で議員会館にいったこともある。石丸の件については、現時点では、相互に連絡を取ってはいない。https://t.co/jcJR5cUbZp
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 13, 2024
ということで、以下、吉峯弁護士の解説です。
石丸伸二が高裁まで敗訴している名誉毀損事件も検討した。
これはもう全くの捏造であり、石丸は嘘つきだ。
名誉毀損は犯罪でもあり、ポスターとはレベルが違う。性犯罪ではないが、ある意味、草津町の新井議員の捏造よりひどくて、多数の議員や職員がいた会議での発言を捏造するのは想像を絶する。 https://t.co/7ecuXNrPfw pic.twitter.com/KZSBsCupNN
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
本件の核心的争点は、「山根議員の恫喝発言はあったのか、なかったのか」(真実性)だけだ。原告被告が直接話している場面なので、真実相当性はほとんど関係がない。
そして、山根議員(原告)が録音を提出しているので、争点はかなり絞られている。会議は約30分だが、冒頭5分は録音がないので、
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
確かに、録音が出ても、それが一部である以上、録音がないタイミングで発言があった可能性も考えないといけない。
これは、草津町の捏造事件での新井の主張と構造か酷似していることは分かると思うが、問題は、その可能性は具体的にあり得るのかということだ。— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
石丸の件はどうか。
冒頭5分に山根議員が「議会を敵に回すと政策が通らなくなりますよ」と発言したとする。そこから録音内容につながるかというと、どう考えてもつながらないのだ。録音は24分強あるが、最初の16分は石丸と熊高議員が、居眠りや人権、プライバシー等について、延々と話している。
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
その後若干のやりとりがあって(山根議員の発言はない)、会議の終わりまで録音は続いている。
全体の流れは、熊高議員(A議員)がまず話をして、他の人はいませんかと振って山根議員が登場したというもの。熊高議員の前に実は山根議員が話していましたという雰囲気はない。
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
録音冒頭の石丸発言も、何らかのやりとりを受けたのものだし、その前に、石丸がピンをつけないことに苦言を呈したみたいなくだりもあったようだ(最後にそれを受けた若干のやりとりがある)。
冒頭約5分に恫喝が入る時間的余裕があるとは思えない。 pic.twitter.com/1YxjwAbEgp— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
この動画は@KyuDNPさんが発見したもので、教えてもらいました。
字幕は不完全で、実際には「その、色々、最後、議論があって、象徴してたのが……」と発言している。
「恫喝」は、会合の議論の後になされたもので、冒頭5分になされたものではない。https://t.co/UqZNmUM1Kahttps://t.co/d2vftrUk8s— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
このように、録音内容を精査するだけで、「恫喝」など存在しなかったことは分かる。
石丸が「恫喝」を立証するためには、それを裏付ける証拠が必要で、それを聞いた人の証言・供述がまずは必要になる(十分条件ではない)。
石丸が提出したのは石丸自身の供述(本人尋問)だが、これが曖昧だ。— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
だから、地裁も高裁も、石丸供述は基本的に相手にしていない。
熊高議員は石丸を支持しているらしいが(控訴の専決処分にも賛成票を投じている)、恫喝発言があったと証言はしてくれなかった。
この時点で不戦敗だろう。 pic.twitter.com/ijdweHnubN— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
なお、地裁判決では、ここまで踏み込んでなくて、本件発言をしたと「認めることができない」、という表現になっている。つまり事実があったとは確認できない、どっちか分からない、ということだ。
地裁は嘘つきとまでは言わなかったが、控訴したら嘘つきと言われてしまった。 pic.twitter.com/bV6pOxUVDU
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
私が最初にそれはないだろうと思ったのは、名誉毀損で敗訴したくせに、その責任を問われたのが市であって、個人は請求棄却になったという法律技術的な点を捉えて、自分は勝った、市に賠償させるのはおかしな構図だと開き直ったこと。
市長の態度として、ありえないでしょう。https://t.co/Kaq47ySGOS— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
本当に思い込んでいる(悪意がない)なら、それはそれで恐ろしいことだよね。
なんの悪気もなく、同じような名誉毀損を繰り返していくだろうということなのだから、政治家をやらせておいていい人ではない。— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
本件と草津の新井の件との共通点は
①全くの捏造による被害申告であること
②捏造であることが録音によって証明されたこと
③録音が一部であることから、不合理な弁明がなされていること
④落ち度のない被害者(黒岩町長や山根議員)が大変な努力で真相を明らかにしたことというあたりだと思う。
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
それから、石丸のメモね。
こんなものは、それ単独で発言を認定する根拠にはならない。
石丸供述の裏付けとしては使いうるけど、供述自体が曖昧で最低限の証明力もないということは、前述したとおり。 pic.twitter.com/its9q1ZEbm— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
なお、石丸は、恣意的な切り取りを主張しているのだが、この録音の冒頭は一つのポイントだと思う。
録音が始まってから数秒だけ、ガサゴソという雑音が入っている。これは、スイッチを入れた後、レコーダーを動かしたり、周囲と接触している音ととれる。https://t.co/GOnGo7E579— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
名誉毀損事件の事実認定については、以上の通りだ。以上の理由から、私は、石丸は嘘つきだと冒頭に断言した。
確定判決がどうあれ、判決が間違うことも、それに逆らって主張を貫くべきときもある。結果として冤罪が証明されることも稀にある。
本件はそういうケースではない。— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
2023年になっても、山根議員が恫喝をしたという発言はしているようだ。ほかにも探せば色々あるだろう。
(Twitter投稿が残存していることによって、不法行為が継続しているから、公訴時効は完成しないという理屈は駄目なのかなぁ?)https://t.co/wsJeGCyixO— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
ポスター事件は、金額決めないのは迂闊だが、法的に争うことは理解できるし、(大人げないが)訴訟で決めることは仕方ない面もある。上告まで行くのは意味不明で、変な負け惜しみとか、人間としてどうかと思うが。
恫喝名誉毀損には、これとは異なる重大性がある。こんなことを許してはいけない。
— 弁護士 吉峯耕平 (@kyoshimine) July 12, 2024
(以下、前回記事と同様の記述となりますが)石丸伸二氏はインターネット番組でこの裁判について指摘されました。この時の反応は注目に値すべきです。
立花孝志vs石丸伸二 フル pic.twitter.com/PSwD8t1ZtQ
— リプシファー (@repshiphor) July 10, 2024
しかしこれすごいよな。「裁判に敗けたなら非を認め謝罪すべき。政治家は皆そうしてきた」と諭す立花孝志氏のド正論にさえ「自分には非がない」を貫く石丸伸二さん。もはや石丸伸二さんの判断は最高裁より上だそうです☺️三権分立完全無視。こんな独裁者、政治家に出来るか!😮💨 pic.twitter.com/I5yq0hVa0H
— あーぁ (@sxzBST) July 11, 2024
司法の判断より私の判断が上、と考える者も首長になれてしまうのです。だからこそ国民が選挙で投票する際の判断は非常に重要なのです。
今回の東京都知事選挙では、石丸伸二氏に関する裁判ネタを知らずに投票した方が多いと想定します。しかし今後、石丸伸二氏が何らかの選挙に挑戦する際にはそれなりの割合の方が裁判ネタを投票判断の材料にされると思われます。
今後の選挙結果に注目したいです。