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Yahoo!等オンラインニュースサイトの寡占⁉について

2023年に公正取引委員会から、ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書というものが出ました。

(令和5年9月21日)ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について

第1 調査趣旨等
近年、ニュースコンテンツに係る消費者の接点として、新聞、雑誌等の既存のニュースメディアの利用が減少する一方で、インターネット上でニュースをまとめて表示するニュースポータルやインターネット検索のサービスなどのニュースプラットフォームの利用が増加している。
ニュースコンテンツが国民に適切に提供されることは、民主主義の発展において必要不可欠であり、また、消費者に情報を届けるという観点で、消費者における自主的かつ合理的な商品等の選択を通じた公正な競争環境の確保に資するものとしても重要である。この点について、ニュースプラットフォームを運営する事業者(以下「ニュースプラットフォーム事業者」という。)と取材に基づきニュースコンテンツを編集して提供する事業者(以下「ニュースメディア事業者」という。)との間の取引や、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツの利用の状況によっては、消費者が質の高いニュースコンテンツを享受することが困難になるおそれがあるなど、国民生活において重要な役割を担うニュースコンテンツの提供に影響を及ぼすとの懸念が指摘されている。(以下略)

報告書においては、Yahoo!ニュースサイトに掲載するための料金が主たる問題のように思います。ニュースサイトがその影響力を行使して、ニュース提供先に払う料金を不当に安く設定しているのでは?というものと思います。

2023/09/22
公正取引委員会はテレビ局や新聞社などがニュースポータルサイトに記事を提供する際の対価が適正かについて調査し、一部のサイトは「優越的地位にある可能性がある」と指摘しました。

公正取引委員会はヤフーやグーグルなどニュースポータルを運営する事業者やニュースを提供するテレビ局や新聞社などメディア側の双方にアンケートや聞き取りなどの調査を行いました。

その結果、ニュースポータルがメディアに対して支払う許諾料は1000プレビューあたり平均124円で、メディアが独自で運営するサイトでの広告単価の水準352円と3倍ほど開きがありました。

ヤフーについては、許諾支払額の多さなどから取引の必要性が高いメディアが多く、「優越的な地位にある可能性がある」と指摘しました。

公正取引委員会は「許諾料の算定方法などの情報を可能な限り開示することが望ましい」としたうえで「当事者間でしっかり交渉を進めることが重要ではないか」と指摘しました。

ただ、Yahoo!のようなニュースサイトに関しては、掲載料金のみならず、どういったニュースを掲載するかを選択する際の問題もあると思います。

私なりに、分かりやすい言葉で表現すると、

Yahoo!のような強力なニュースサイトは、それが恣意的に発信するニュース記事を選べば世論誘導は容易にできてしまう恐ろしさがある

ということです。

現にそういう問題は生じていると思います。その一例。

こういった点について、私の政策担当秘書の坂本雅彦さんに調査記事を書いていただきました。

記事を一部共有します。

 ニュースコンテンツ配信分野に関する問題点は許諾料収入の問題だけではない。一部の配信事業者による寡占状態にあるという問題がある。情報の寡占化が進むと少数のリーディングカンパニーによって恣意的な論調や風潮を醸成することも不可能ではなくなる。民主主義の健全な発展を期すには取引等の公正性、透明性を高め、公正な競争環境の確保を図る必要がある。消費者がニュースコンテンツを探す際に利用するのは、インターネット検索が54.4%、ニュースポータルの利用が34.8%と合わせて約9割を占める。ニュースメディアサイトはたったの2%となっている。ニュースのネット検索のシェアではグーグル検索が28.4%、ヤフー検索が26.1%、ヤフーニュースが18.3%、LINEニュースが3.7%となっている。ヤフーとLINEを48.1%となり圧倒的なシェアを持つ。両社は経営統合しLINEヤフーとなっているのだからニュース配信において例を見ないガリバー企業である。LINE社は中間株式の50%を韓国のNEVER社が保有している。穿った見方を敢えてすれば、外国資本の影響を少なからず受けた可能性を否めない情報コンテンツを、ネットを中心に情報を得ている国民の60%から80%に届けている状態にあるとも言える。そのような懸念を排除して状況を俯瞰しても、やはりリーディングカンパニーであるLINEヤフー社が提供するニュース配信には他を圧倒する拡散力を持ち、その内容が消費者の認識に強い影響力を持つことは容易に察する。健全な民主主義を阻害する要因となり得ることは否定できない状況にある。公取委は公正かつ自由な競争を妨げられることがないように独占禁止法に照らして調査を行っている。

先日の港区長選挙では、LINEヤフーの社長が特定候補を応援していましたが、こういうのはいいのか?という問題提起はあってしかるべきでしょう。

坂本雅彦さんによる調査記事第2弾。海外では対策が進んでいる?、という話です。

 諸外国でのニュース記事の著作権に係る法整備は徐々に進みつつある。2019年にEUではコンテンツ使用に対するメディアの報酬請求権を盛り込んだEU著作権指令が成立した。そのことを受けてフランスメディアはグーグルに記事使用料の支払いを求めたがグーグルは拒否してきた。両社になかなか妥協点が見いだせない中、EU競争委員会は2020年4月に「グーグルの対応が支配的地位の濫用に当たる」と認定し、メディアとの交渉に応じるよう暫定措置命令を出した。しかし、グーグルは不服申し立てを行った。その結果、2021年にEU競争委員会は遂にグーグルに対して著作権侵害で約700億円という巨額の賠償金を支払う措置を確定するに至った。この巨額支払い措置の裁定を受ける以前の2014年にはスペインの著作権法改正でニュース使用料支払いの義務化が盛り込まれたことからスペイン版グーグルニュースを閉鎖していた。権利保護の為の規制に対してグーグルは長い戦いを行ってきた結果として巨額な賠償金を支払うこととなった。著作物への大手メディアのタダ乗りに対する法によるしっぺ返しによって「誠実な交渉」「報酬額評価の透明性に必要な情報の通知」など多くの重要事項をグーグルは学んだはずだ。

(中略)

いずれにせよ、世界の趨勢としては検索サイトやニュースポータルの運営会社はニュースメディアに一定の使用料を支払う契約を義務つける法整備を進める方向性にある。日本も世界有数のニュース消費市場であるし、巨大IT市場である。弱い立場に置かれがちなニュース提供者であるメディア各社を保護しつつ健全な民主主義の発展を維持するためにも早期に需給双方のネゴシエーションを整理しルール作りに取り掛かるべきである。

この件については、おそらく霞が関の方で対策、準備が進んでいるのではと推察しますが、私の方でも国会で問題提起することを検討しています。

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