今回は板橋拓己(成蹊大学教授)氏が日本国際問題研究所に投稿したレポート記載内容を取り上げます。
板橋先生!「欧州各国の対中認識が悪化し続け、かつ米中対立が深刻化する場合、いつまでも「価値と利益のバランス」を建前とした現在のような政策をとり続けることも、ドイツにとって困難な道となるだろう。」
ドイツの対中政策―ポスト・メルケル時代へ向けて https://t.co/dOdmzLA1xl
— Tsuyoshi Goroku (@t_gordau) March 22, 2021
ドイツの対中政策の転換が分かりやすくまとめられています。一部抜粋します。
5年連続で最大の貿易相手国
ともあれ、経済重視の対中政策は当然の流れではある。輸出主導の貿易国であるドイツにとって、近年の中国市場の意義はとてつもなく大きい。ドイツ連邦統計局の発表(2021年2月22日付)によると、2020年も中国がドイツ最大の貿易相手国であった。これで5年連続である。(中略)
警戒感の高まり
とはいえ、ここ数年で、ドイツの政治家や財界人、専門家サークルにおける中国認識は急速に否定的なものに傾きつつある。
その転機として誰しも指摘するのが、2016年にドイツの産業用ロボット製造大手「クーカ」が中国企業に買収されたことである。この衝撃から、ドイツは優れた技術をもつ企業の買収阻止に本腰を入れ始めた。そもそも「社会的市場経済」と呼ばれるドイツの経済政策の原則のもとでは、市場を歪めない限り企業買収は問題視されない。しかし、中国企業による買収が問題視されるようになったのは、第一に、その背後に中国の政治的意図があるとドイツ側が認識したからであり、第二に、中国による買収は一方向的であって、ドイツ企業に対して同様の権利が中国内で認められておらず、双務的・互恵的ではないからであった。いずれにせよ2016年あたりから相次ぐ企業買収と中国進出企業への技術移転の強要などが重なり、中国への警戒感が広がった。
ドイツの対中認識の転換を象徴するものとして注目すべきは、同国最大の経済団体であるドイツ産業連盟(BDI)が2019年1月10日に公表した提言書「パートナーにして体制上の競争相手――中国の国家主導経済にわれわれはどう向き合うか?」である。そこでBDIは、EUに対中政策の厳格化を求めるとともに、企業に対しては中国依存の是正を促した。そしてBDIは、中国が独自の政治的・経済的・社会的モデルを確立しており、EU側の期待に反して、市場経済と自由主義に向けて発展する可能性は低いと判断を下したのである。かかる声が人権団体や政治家ではなく、ドイツの産業界からも出てきたことは驚きをもって迎えられた(この提言は2019年3月のEUの対中戦略に反映された)。(以下略)
ドイツの産業界による中国分析が興味深いです。分析内容は妥当と思います。
ドイツ産業連盟(DBI)は、日本においては経団連が該当すると思います。G7各国の経済団体が集まる会議としてB7というのがあり、ドイツはDBIが参加しているようです。
さて、経団連の対中戦略はどうなのか?DBIを参考にしてもらいたいところです。
「後藤茂之経済財政・再生相は20日、経団連など主要7カ国(G7)の経済団体が集まるビジネス版「B7東京サミット」に出席した。2030年までの対日直接投資の残高の目標を現行の80兆円から100兆円に積み増す方針を明らかにした」https://t.co/EBJ8YcbVCs
— 某省のこたつ (@nettaiyomitai) April 20, 2023
4月20日、 #岸田総理大臣 は、経団連(日本経済団体連合会)が主催する #B7東京サミット に出席し、その後、十倉経団連会長他 #B7 の各国代表者から、共同提言の手交を受けました。
https://t.co/1SYrVnTEQX pic.twitter.com/3CiXXLi04n— 外務省 (@MofaJapan_jp) April 20, 2023
ここで、ドイツの対中政策に関して主な事例を取り上げます。
・2021年12月にショルツ政権発足、対中戦略見直し着手
・2023年7月13日、過度な中国依存を減らす「中国戦略文書」を公表
最近のドイツと中国に関する報道で注目することが2つあります。
1つ目:2024年4月16日、ショルツが訪中して習近平、李強と相次いで会談
2つ目:4月22日、ドイツ連邦検察庁が、中国の情報機関のため軍事利用できる技術に関する情報をドイツ国内で集めていた容疑でドイツ人の男女3人(男一人と夫婦)を逮捕
日本においてはスパイ防止法がないので、スパイに対して罰則を与えられないのは問題です。
昨日出演したアベマプライムでスパイ防止法も話題になりました。
日本でのスパイ行為抑止力としての同法は必要と考えます。
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その最高刑が死刑または無期懲役とする同法による抑止力には一定の効果が見込める。(中略)それに加担してしまう一般人や議員側に対する抑止は見込めるだろう。 https://t.co/EHPcjBAC9P
— 浜田 聡 参議院議員 WBPC問題調査中 💉💉💉 YouTubeやブログは毎日発信 (@satoshi_hamada) April 17, 2024