本日の報道です。賃上げ傾向が良好とのことで、日銀が続けてきたマイナス金利解除の方針とのことです。
2024/03/15 #日本銀行 #金融政策決定会合 #マイナス金利政策
連合が公表した春闘の第一次集計の結果が33年ぶりとなる高い賃上げ水準となったことなどを受け、日本銀行は来週の金融政策決定会合で、マイナス金利政策を解除する方向で最終調整に入りました。
さて、ここで「マイナス金利」の定義を確認しておきましょう。
マイナス金利とは、民間の金融機関が中央銀行(日本では日銀)に預けている預金金利をマイナスにすることです。金利のマイナス化により、預金者が金利を支払うことになります。
日銀のマイナス金利政策は、2016年1月に「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」として導入されました。日銀のマイナス金利政策でマイナス金利が適用されるのは、金融機関が持つ日銀の当座預金のごく一部です。日銀はマイナス金利政策によって、金融機関が日銀に資金を預けたままにしておくと金利を支払わなければならなくすることで、金融機関が企業への貸し出しや投資に資金を回すように促し、経済活性化とデフレ脱却を目指しています。
「マイナス金利政策によって、~~~経済活性化とデフレ脱却を目指しています。」
ということです。
マイナス金利解除ということは、経済活性化とデフレ脱却は十分に達成した、という(政府?日銀?の)判断なのかもしれませんが、個人的には疑問符です。
半年前の金融政策を少し振り返ってみます。
とりあえず、ここでイールドカーブコントロールについて確認しておきます。日経のYoutubeチャンネルの動画で3分ほどでわかりやすく説明されています。
ポイントを羅列します。
・通常の金融政策は短期金利のみを操作する(長期金利は市場に任せる)・国債の利回りを描くカーブ=イールドカーブ(右肩上がりが自然)
・日銀は10年物国債(償還期限が10年の国債)の金利を0.5%以下にコントロール←これをイールドカーブコントロール
今回の植田和男日銀総裁のYCC(イールドカーブコントロール)柔軟化は10年物国債の金利をこれまで0.5%以下に抑えられていたものを、1.0%以下にする、というものです。
ということで半年前のYCC柔軟化に続いて、今回のマイナス金利解除も金融緩和策を少し引き締めるもので、その効果は似たものと考えます。
要は企業や個人は、資金を借りにくくなり、経済活動が抑制されて、景気に悪影響がでる可能性がある、ということです。
景気は悪くはないとは思いますが、金融政策を大きく変更するほど景気は良くないように思います。いくつかこれに関する意見を取り上げてみます。
日銀の政策行動についてのアンケート調査が回ってきたが、正直現状の経済動向からはマイナス金利解除も利上げも行うべきではないとしか言えないので、回答できない。そんな事を言っていても回答作業が終了しないので適当に答えているのだが、解除一択のような扱いに疑問を感じたりはしないのだろうか。
— 片岡剛士(Goushi Kataoka) (@kataokagoushi) March 7, 2024
焦っている『一部の政府関係者』とは財務省関係者ではないだろうか。国民全員のこと、日本経済全体のことを考えれば、賃金や設備投資に惜しみなくマネーが投じられるようになってから解除すべきではないか。⇨日銀の3月か4月のマイナス金利解除、一部の政府関係者が容認姿勢https://t.co/TXAl9UqHuP
— 金子洋一神奈川20区(相模原市南区、座間市)日本維新の会 (@Y_Kaneko) March 7, 2024
日銀の方針を不安視する意見がある一方、日銀の方針転換そのものに否定的な意見もあります。
ガセかな?
— 渡瀬裕哉 (@yuyawatase) March 15, 2024
結局ドル円はまた148円に乗りました。マイナス金利解除は所詮こんなもの。日銀は本気で引き締めをやる気がないくらい誰でも知っているので基本ノイズだと思って下さい。米金利と需給の動きだけ見ていればいい。
— Emin Yurumazu (エミンユルマズ) (@yurumazu) March 14, 2024
マイナス金利解除の具体的内容がイマイチわからないが。どちらかというとインフレでYCCを維持できないことや、名目金利をマイナスで維持することも困難になったからではないかと思う。インフレ期待が乗ると長期金利は上昇するので。
引締めに大きく舵を切ったと言う感じではないかもしれない。 https://t.co/3XvQfGPWMW
— 竹上将人(中小企業診断士・BCPコンサル) (@the_last_leaf) March 15, 2024
あと、相変わらずの日銀の情報漏洩を問題視する声もあります。
3日前で、こんな事前ユルユル漏れ漏れでいいのか?/日銀はマイナス金利政策の解除とあわせて大規模緩和の柱となってきた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)も撤廃する方針だ。 https://t.co/krM4uzqvuG
— 渡邉正裕 (@masa_mynews) March 15, 2024
さて、私の現状の結論としては、金融政策の方針を決定する日銀の総裁含めた審議委員は政府与党が決めるわけで、これまで安倍・菅・岸田政権が選んできた委員がすぐに方針転換をすることは考えにくいようには思います。
コメント
賃上げは昨年来より周知のことだったものの、春闘5.28%と速報があったときには、さすがに目を見張りました。
白川氏から黒田氏へのオセロがあり、変化を有効化したのは日本円のセールでした。
手数料ビジネスに傾倒し投資銀行としての役割が弱まった金融機関ですが、契機はソフトバンクなどの一般向け社債発行による資金調達の広まりだったように振り返ります。日本の金融機関は資金を海外に振り向けました。マイナス金利を続けている国は、もうありませんが、不安感の中毒から抜け出せないのは理論を超えた日本人に気質に思います。
特異なのはETF購入で膨れ上がった日銀資産を維持しながら、実質経済の成長に直接結び付けられたとは言えないことです。安い労働力を外から持ち込み業者にマージンを取らせるような政策では、成長は不可能です。構造の矛盾だけではなく、「勤労意欲」を下げているかもしれません。ここまでくると、完全に政治の失態です。
この話題を取り上げた浜田議員の行動力に、日本の未来への希望を感じたいと思います。
余計なことをしてバブル崩壊みたいにならないようにして欲しい。
過去のバブル崩壊の要因の一つに社会保険料の増額があったようです。
免税事業者の場合は、インボイス制度のおかげで賃下げ傾向が良好ですね。メディアや与党は景気が上向いているという雰囲気を作ろうとしているようですが、自分の足を食べているようなものだと思います。生活保護受給率が上がっていますよね。それが証拠です。