先月の参議院財政金融委員会での日本維新の会、柳ケ瀬裕文議員の質問を取り上げます。
★日本維新の会柳ヶ瀬参議院議員
「減税でインフレになる」デマを打ち消す質疑!
インフレに2種類あることも国会で発言!
財務省主税局
「消費減税は物価を押し下げます。」
柳ヶ瀬議員… pic.twitter.com/XXC1Md0FWs— チャンネルくらら~日本に近代政党を❗ (@chanelcrara) November 15, 2023
ポイントを挙げます。
・防衛増税が決まっている中で1年限りの減税では効果が乏しいのではないか。
・物価高対策として効果が大きいのは消費税減税と所得税減税のどちらなのか?
・→同額の消費税減税と所得税減税では、消費税減税の効果は所得税減税を上回る。
・→消費税減税には物価押し下げ効果がある。
・→消費税減税は1年程度の期間では物価を押し下げ、長期的には総需要を拡大して物価を押し上げる。
・ただし財務省としては、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源なので引き下げるつもりなし。
直近の物価高の対策は?と国会内外で色々と議論されていますが、「消費税減税」が明快な答えではないかと思います。
過去、私は国会で減税に関して質問をする際には財務省に質問してきました。柳ケ瀬裕文議員は財務省のみならず、内閣府にも質問をしています。財務省は消費税減税に否定的ですが、内閣府は消費税減税の効果を肯定的に答弁しているのは、大変興味深いです。
勉強になります。
当該部位の議事録を共有します。
第212回国会 参議院 財政金融委員会 第3号 令和5年11月14日
052 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。
冒頭、ちょっと通告していないんですけれども、先ほどのあの熊谷さんの話を聞いていまして、これ、神田副大臣の税金の滞納の件については、これ大臣は知らなかった、任命時には知らなかったということでよろしいんでしょうか。
053 鈴木俊一
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○国務大臣(鈴木俊一君) 滞納の件については存じ上げておりませんでした。
054 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 であるとするならば、これもし知っていたとしたら、これは任命はしなかったということでよろしいんでしょうか。
055 鈴木俊一
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○国務大臣(鈴木俊一君) 副大臣につきましては、任命するのは内閣でございますので、もしそういう情報があれば、恐らく内閣の方でもいろいろ考えたのではないかと思います。
056 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 是非調査をしっかりとしていただきたいというふうに思います。
かつて、これ、年金未納問題ってありましたよね。そのときにも、何でしょう、誰が年金納めていないんだみたいなことで本質的な議論に至らなかった。で、国会が非常に大きく停滞してしまったという事態がございましたので、この税金の滞納についてもこれはしっかりと閣僚の皆さんがどういう状況にあるのかということについてはお調べをいただきたいと、このことを前提として申し上げておきたいというふうに思います。
今日は、岸田内閣、支持率が下げ止まらないということなんですけれども、私はこれは、内閣の発しているメッセージがちょっとあべこべになっていると、統一されていないと、メッセージがなかなか伝わっていないということが原因にあるんではないかなというふうに思っています。
岸田さんが言っていることは、デフレの脱却、これを何としてもやるんだということで、これは完全にアグリーであります。で、政策を総動員するんだということを言っているんですけれども、果たしてこれ、政策が総動員されているのかどうなのか、ここに疑義があるということなので、今日はその点についてお伺いしていきたいというふうに思いますが。
これ、所得減税についてですね、まずは。所得減税は一年限りなんだということを殊更強調されているわけでありますけれども、これ内閣府にお伺いをしますが、これ、短期マクロ計量モデルで名目GDP比一%の所得税減税を一年だけ実施した場合と二年連続で実施した場合の実質GDPの押し上げ効果、これはどう違うのか、この点についてお伺いしたいと思います。
057 松多秀一
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○政府参考人(松多秀一君) お答え申し上げます。
二〇一八年から二〇二〇年までのデータを用いました二〇二二年版短期日本経済マクロ計量モデルの乗数表に基づきまして機械的に計算を行いますと、名目GDP比一%相当額の個人所得税減税を継続的に実施した場合、一年目は実質GDPを〇・二一%、二年目は実質GDPを〇・三三%、それぞれ押し上げるとの結果になっております。
058 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 これはあくまでモデルですので、いろんな仮定に基づいたものではありますけれども、一年目は〇・二一%で、二年連続した場合には〇・三三%ということで、二年目の効果というのは、連続してやった場合には約一・五倍の効果があるということでございます。
そこで、大臣、ちょっとこれ通告はしていないんですけれども、今年も税収上振れしますよね、税収かなり上振れすると思います。いや、ちょっとじゃないと思いますよ。これ、三・五兆円ということにかなりこだわっていらっしゃるようですけれども、これ私やるんであれば、これ二年目の効果は非常に高いので続けるべきではないかというふうに思うわけですけれども、これ、今年の税収の上振れ分というのをこれまた還元するという意味合いで、この減税を続けるという可能性があるのかどうなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
059 鈴木俊一
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○国務大臣(鈴木俊一君) 今回の経済対策では、令和二年度から令和三年度、令和三年度から令和四年度の税収の見込みよりも伸びた分、これが約、それに見合う分が三・五兆円であります。これを国民の皆さんに見合う分を還元するということで、経済対策の中でも一時的な措置というふうに位置付けられているところでありまして、政府としては、複数年度行うことが前提となっていないという立場であります。
いずれにしましても、その制度設計については、与党の税制調査会において年末に決定をされるというふうに理解をしております。
060 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 これ、税収の上振れは、これ毎年上振れしているんですね。もはやこれは安定財源なんではないかというふうに言えるぐらいの税収の上振れではないかというふうに思うわけであります。
ですので、これやるのであれば、やっぱりしっかりと効果の高いやり方をやっていただきたいというふうに思いますし、もう一度、もう一問ですね、財務省に質問するならば、これ、防衛増税が決まっているわけですね。これ、二四年度は先送りするということで、所得増税、二四年度はしないよということですけれども、二七年度までにはやるということで、これ増税決まっているわけであります。
財務省にお伺いしますが、これ、増税が決まっている中での減税と、増税が決まっていない中での減税、これは所得税についてですね、どちらの方が効果が高いというふうにお考えなのか、この点についてはいかがでしょうか。
061 青木孝徳
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○政府参考人(青木孝徳君) 防衛力強化に係る税制措置のうち、委員の御指摘の所得税の付加税でございますが、復興特別所得税の税率を一方で引き下げまして、新たなこの付加税と合わせました税率は現在と変わらない水準とするということで、現下の家計の負担増にならないように配慮をいたしております。
このため、今般の定額減税の経済効果については、防衛力強化のため新たに課される所得税の付加税による直接の影響は受けないものと考えております。
062 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 それが分かりにくいんですよね。
だから、結局、所得増税をするんだ、所得税は増税するんだと、二七年度まで上げるんだということを一方で言いながら、今回は所得減税を一年限りやるんだということを言っているわけですから、それは国民にはやっぱり抑制効果を発揮しているということで、それなかなか消費につながっていかない。そもそも所得減税は貯蓄に回る傾向が高いということなわけですから、これはしっかりと効果の高いやり方をやっていただきたいというふうに思うんですが。
そこで、大臣にお伺いしますけれども、この防衛増税における所得増税に関して、もうこれ先延ばしにするということがありましたが、今回の所得減税ということを考えたときに、この防衛増税の中の所得増税については、これは更なる先延ばし、若しくはやめてしまえばいいんではないかというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
063 鈴木俊一
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○国務大臣(鈴木俊一君) この防衛財源の中での所得税のことにつきましては、先ほど主税局長から答弁をさせていただきましたが、この所得税の付加税、これは、復興特別所得税の税率を引き下げ、一%、で、新たな付加税を一%足して、合わせますと、税率が、負担していただく税率は現在と変わらない水準でございますので、このいわゆる防衛増税をしたといたしましても家計の負担は増えないというような配慮になっているところでございます。
この税制措置の有無によりまして、今般の定額減税の経済効果、これは直接影響を受けるものではないと考えているところでございます。
064 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 これ、先延ばしに、二四年度は先延ばしにしたわけですよね。それは、少なくともこの減税の効果をしっかりと見ようじゃないかという意味で先延ばしにされたというふうに思いますよ。
そういった意味では、これの更なる先延ばし、若しくはこれをやるタイミングについては、どういう状況になったらこのタイミングでやるんだということになるんでしょうか。どうでしょうか。
065 鈴木俊一
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○国務大臣(鈴木俊一君) この防衛力強化に係る税制措置につきましては、昨年末に決定をいたしました閣議決定の枠組み、それと骨太二〇二三に基づいて進められるものでございまして、年末に向けてこの与党の税制調査会において議論がされるものと、そのように承知をしております。
066 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。
与党の税調で話をされるんだということで、宮沢税調会長がお決めになるんだというお話ですけれども、是非答弁者に宮沢さんなっていただければなと。じゃないとなかなか質疑が深まらないですよね、そういう意味では。鈴木大臣が答弁できなくて宮沢税調会長は答弁できる立場にあるということですから、であれば、税調会長にしっかり答弁していただくということがいいのではないかなというふうに私は思うわけであります。(発言する者あり)委員長には指名は求めません。ありがとうございます。
そして、私たちはこの経済対策の中で社会保険料の減免、消費増税、消費減税ですね、ということを言っているわけですけれども、ここでまた内閣府の方にお伺いをしたいと思います。
先ほどの短期マクロ計量モデルで、名目GDP比一%の所得税減税と同額の消費税減税を実施した場合、両者の実質GDPの押し上げ効果はどう違うのか、この点についていかがでしょうか。
067 松多秀一
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○政府参考人(松多秀一君) 先ほど申し上げましたモデルの乗数表に基づきまして機械的に計算を行いますと、名目GDP比一%相当額の個人消費、個人所得税減税を、これを継続的に実施した場合には実質GDPを一年目に〇・二一%、その個人所得税減税と同額の消費税減税を継続的に実施した場合には実質GDPを一年目に〇・四四%、それぞれ押し上げるという結果になっております。
068 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 今の内閣府の試算だと、所得減税と同額の消費減税をした場合に、消費減税の方が二倍のGDPの押し上げ効果があるんだということであります。ですから、もう経済対策としてどちらの方が有効なのかというと、これはもう火を見るよりも明らかなものだというふうに思うわけですけれども。
最近、この消費減税については、これ消費減税をするとインフレが加速するんだというようなことをおっしゃる方がいるわけですけれども、これについて財務省の見解を伺いたいと思います。
069 青木孝徳
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○政府参考人(青木孝徳君) まず、消費税と物価の関係でございます。
一般論として申し上げますと、消費税率を引き下げますと、広く物価を押し上げる効果というのは否定できないと思います。あっ、押し下げる効果があることは否定できません。
ただ、もう少し長いスパンで見た場合でございますが、物価の引下げに伴う購買力の増加により、物価が一定程度押し戻されることは否定できない、特に需給が逼迫している品目に関してはその傾向が強いのではないかと考えます。
ただし、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置付けられておりますので、その引下げを行うことは適当ではないというふうに考えております。
070 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 今、財務省、見解をおっしゃっていただきましたけれども、これ内閣府にも一応これ聞いておきたいというふうに思いますが、先ほどの短期マクロ計量モデルで、名目GDP比一%相当額の個人所得税減税を実施した場合と同額の消費税減税を実施した場合の物価への影響、民間消費デフレーターへの影響、それぞれ幾らになるのか、お伺いしたいと思います。
071 松多秀一
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○政府参考人(松多秀一君) お答え申し上げます。
同じモデルの乗数表に基づきまして機械的に計算を行いますと、個人所得税減税、こちらを実施した場合には、民間消費デフレーターを一年目に〇・〇〇%押し上げ、その個人所得税減税と同額の消費税減税を継続的に実施した場合には、民間消費デフレーターを一年目に一・〇%、一・〇三%押し下げるという結果になってございます。
072 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 ですから、今内閣府がおっしゃったように、所得税減税をしてもこのデフレーターに影響を与えないと、ニュートラルであると。消費減税をした場合には、これ一年間のスパンですね、一年間のスパンですね、一年間のスパンで約一%の物価を押し下げる効果があるということだと思います。
ですから、これどう考えても、今の物価高対策かつデフレからの脱却ということを考えたときに、この消費減税がもう最善手であるということは間違いないと思います。もう直接的にまず消費税減税をすれば、物価、物価高、物価が下がるということですよね。かつ、今、今はコストプッシュですけれども、これディマンドプルにしていかなければいけないと。コストプッシュはだんだん緩やかになってきていますから、大事なのはこれ需要をどうやって創出するのかということでありまして、そういった意味では、消費減税はこの需要をしっかりと創出していく効果があるということですので、このデフレ脱却かつ物価高対策ということを考えたときに、この消費税減税がこのベストの打ち手であるということ、これは様々なデータからこれ間違いないと思うわけであります。
しかし、残念ながら、これは社会保障財源だからこの消費税減税をやらないんだということをおっしゃっているわけですけど、これ逆にどういう状況になったらこの消費減税ということをやる可能性があるのか、これ、財務大臣、いかがですか。何かオプションがあれば是非お聞かせいただければと思いますけれども。
073 鈴木俊一
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○国務大臣(鈴木俊一君) 多分ですね、多分という言い方は変ですが、柳ヶ瀬先生の御指摘、これは消費税減税であれば直接的に物価を引き下げることにつながるのではないかというまずお話であると思います。
物価と消費税減税の関係につきましては、先ほど主税局長から答弁をさせていただきましたけれども、様々な影響、これを慎重に考慮する必要があろうかと、そのように考えております。また、消費税減税は、物価高対策という観点から見ても、高額消費をも含めて負担軽減がなされることとなりますので、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々に的を絞った対策にはならないおそれがあるものと考えているところでございます。
そして、どのような状況になれば消費税を下げることになるのかというその条件のお話があったわけでございます、環境のお話があったわけでありますが、政府としては、再々お答えしたことの繰り返しで大変恐縮でありますけれども、消費税につきましては、急速な高齢化に伴い年々増加する社会保障給付費の財源確保が課題とする中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けておりますことから、その税率を引き下げることは適当ではないと考えているところであります。
074 柳ヶ瀬裕文
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○柳ヶ瀬裕文君 これ、またやりたいというふうに思いますけれども、やっぱりこれ増税で財政再建できないですよ。やっぱりしっかりと経済成長をしていく、そのために政策総動員してこれ減税をしていく、で、デフレから脱却をして経済成長をして税収を高めていく、これが一番の最善手であるということ、これからもしっかりと議論してまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
今日は終わります。ありがとうございました。
コメント
免税事業者の私が所得税減税による還付を受けられるのは、25年になるとのことでした。住民税は24年に減らしてもらえそうですね。もらえないよりもらえた方がいいけど、来年は住民税の減税分以上に物価が上がらないことを祈るしかなさそうです。当面の対策として、来年大幅に値上がりしそうなオリーブオイルは1年分(3リットル)確保しました。
支持率が下がっても、政権交代が出来る野党が育っていないのがツラいところですね。
渡瀬裕哉さんが主張されていた2:1ルールは何か進展はあったのですかね。
行政は税金をいっぱい徴収して、いっぱい運用するのが
「仕事している感=自分の評価」になるのがなんだかんだなぁと思います。
子供じみた発想ですが、行政のお役人が、「節税の実績=昇進」となると
世の中が変わるのかなぁと思ったりします。