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岸田文雄衆議院議員の初質疑のテーマは「減税」⁉

岸田総理は、減税と見せかけて実は全く減税ではない政策を発表し、それは「偽減税」と呼ばれています。

頑なに減税を拒む姿勢には悪い意味での一貫性を感じます。

さて、そんな岸田総理ですが、こんな時代↓がありました。

岸田文雄衆議院議員にとっての国会での初の質疑では減税を訴えていたということです。当該質疑の議事録を共有します。少し長いですが、興味のある方は目を通していただければ幸いです。

第128回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 平成5年11月9日

061 岸田文雄
○岸田委員 私は、広島一区から参りました岸田文雄と申します。先ほどの米田議員と同じく自由民主党初当選でございます。どうかよろしくお願いいたします。
それでは、私もいろいろお伺いしたいものがあるわけでありますが、まずもって大変興味の中心であります景気対策から始めさせていただきたいと思います。
今回の不況、一説には通常の景気循環、平均十五カ月という説もあるようでございますが、そういった見地から考えましても大変深刻なものがあると思うわけであります。加えて、ことしは冷夏、災害、そして円高、公共事業の発注、施行のおくれ等々特殊な要因がたび重なりまして、先行きの方は大変暗いものを感じるわけであります。
そういった中で、政府は九月十六日、緊急経済対策を発表されましたし、また九月二十一日には公定歩合一・七五%、これは史上最低水準であるわけでありますが、そういった決定をされたわけでありますしかるに、その後の状況を見ておりましても、平均株価二万円割れ等々の現象を見る限り、顕著な効果はあらわれていないのではないかなというふうに思う次第であります。そういった状況の中で国民の不安は大変大きいものがあると思うわけであります。
そこで、先ほど米田議員の方からも所得税減税について御質問があったわけでありますが、私も多少表現を変えまして、このあたりをお伺いできればと思う次第であります。
やはり、こういった厳しい状況の中で、私自身
としてはアナウンス効果のある景気対策の目玉としまして大幅な所得税減税、これは必要であると思うわけでありますが、これにつきまして細川総理も再三その答申を尊重するとおっしゃっておられますようでございます。政府税調におきましては、この場合、予算単年度主義あるいは減税食い逃げ防止の見地から所得税減税と消費税税率アップとを確約する形でセットで行うという説があるようでございますが、私自身はそれについて疑問を感じておるわけでございます。
そもそもこの議論を聞いておりますと、直間比率の見直しというあるべき税体系という問題と景気対策とを何かごちゃまぜにしておられるのではないかなというふうに思うわけでございます。景気対策という見地から考えました場合、この所得税減税と消費税税率アップはセットで考えるということに関しては、二つの理由から疑問を感じるわけであります。
一つは、景気対策における心理的効果という面から、また一つは、この所得税減税と消費税税率アップを仮にセットで考えてみました場合、その結果としまして高所得者層には大幅減税が結果として出てくると思うわけでありますが、中あるいは低所得者層に関しましては結果として減税効果は小さい、あるいは負担が大きくなるという結果があるのではないかと思うわけであります。
そもそも景気対策ということから考えますと、消費の拡大を主な目的にこういった議論が行われておることから考えますと、もともと高所得者層はどちらかというと貯蓄性向が大きく消費性向の方が小さい。逆に低所得者層の方が消費性向が大きいということが言えると思うわけであります。そういったことから考えますと、この所得税減税の財源を消費税の税率アップに求めることにますます疑問を感じるわけでございます。景気対策として、消費拡大の目的のために所得税減税の財源を消費税税率アップに求めるのではなくして、財源の方は時限立法による国債の発行あるいは経費節減等の政府の自助努力あるいは景気回復時の税収アップ等々に求めるべきではないかというふうに思うわけであります。
もともと大蔵省の方は、先ほども米田議員のお話にもありましたが、所得税減税の効果については疑問を感じておられる、反対であるというような意見ではなかったかと思うわけでございますが、そういった中で、重なる部分もあるかもしれませんが、もう一度政府税調の論議等も踏まえた上でこの辺のお考えをお聞かせいただければと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
062 藤井裕久
○藤井国務大臣 今岸田委員のお話のように、あるべき税制の姿と景気対策としての減税は違う、これはもうそのとおりだと思います。
そこで、景気対策としての減税はどうかということについて、もう一度繰り返しますけれども、今まで各種の施策を講じてきて、やはり次は減税だなという話が出てくるのはこれはもう当たり前のことだと思っています。また、大蔵省が言っておりますのは、公共投資政策と減税対策はどっちが経済効果が大きいか。あれは世界経済モデルで持ってきたんだと思うのですけれども、世界経済モデルからいうと公共投資政策だということから、前政権もそちらに力を入れてこられた、こういうことですね。私がさっき申し上げたのは、それはさりながら心理的効果があるでしょうということを申し上げたわけです。
しかし、この財源を垂れ流し的赤字国債でやるということはとても受け入れられないことだ。私は過去の、十五年間かかったわけですね。昭和五十年度補正予算のときは私は大蔵省の役人やっておりまして、このとき赤字を初めてやったんです、大平大蔵大臣の時代なんですけれども。十五年間かかった。しかも昭和五十四年度というのは経済が物すごくいいんですよ。いいにもかかわらず四〇%の国債依存度になり、そのうちの半分以上が赤字国債だったのです。これは一たんやってしまうといかに難しいかということの証左なんですよ。このことを考えますと、私はどうしても垂れ流し的赤字国債には反対であると申し上げざるを得ません。
063 岸田文雄
○岸田委員 大蔵大臣の御意見を承りまして、所得税減税に心理的効果はあるというのはおっしゃるとおりだと思うわけでありますが、ぜひその心理的効果、より効果的に現出できるように一層の御努力、工夫をお願いしたいものだと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
そして、今所得税減税の話の中で消費性向のより大きいのは高所得者層より低所得者層の方であるということを申し上げたわけでありますが、景気対策として、消費拡大の見地からいいますと、低所得者層の消費を促す対策、これはまた別途考えなければいけないのではないかと思うわけでございます。例えばこういった層に一番効果があると私自身思いますのは教育減税等、このあたりが中心ではないかと思うわけでございます。こういった低所得者層への消費拡大の見地から、教育減税等といった分野に関しまして一層の御努力等必要ではないかと思うのですが、御意見を例えればと思います。よろしくお願いします。
064 藤井裕久
○藤井国務大臣 これをどういう形でやるかというのは非常に前から議論されまして、特定扶養控除という制度で十六歳から二十二歳というお子さんのある方について措置をしよう、こういうことになったわけです。そのことは、教育というのを表に出さない、しかし同時に扶養控除のところで、非常にお金のかかるお子さんのところだということでやっているわけであります。ある特定の目的を持ち出しますと全部あるのですよ。理由は何でもあるのですよね、教育とかなんとか言えば。そうではなく、そこいらのお子さんをお持ちの方にお金がかかるだろうということから特定扶養控除という仕組みをつくったわけであります。そういう中で考えていくべき問題であって、教育控除という形については、私は税の物の考え方から必ずしも納得することはできないということを申し上げたいと思います。
065 岸田文雄
○岸田委員 今一つの例として教育を申し上げたわけでありますが、それでは低所得者層の消費拡大、大きな意味での消費拡大という意味から、何か目玉となるようなお考えがあればお聞かせいただきたいのですが、いかがでございましょうか。
066 藤井裕久
○藤井国務大臣 今の岸田委員のお話に入っていくと、一体減税はどういう内容だという話になるわけでありますが、今申し上げましたように、景気対策としての減税は財源を考えるととても難しいということを申し上げている段階において、減税の中身がどうこうということを私の立場で申し上げる段階ではないと考えております。
067 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。
それでは、もう一つ景気に関してお伺いしたいと思うのですが、これは先ほどの所得税減税にせよ、今申し上げましたようなその他の減税にせよ、これから実施されだとしても効果としてはやはり来年度以降ということになるかと思うわけでございます。そういった中でも、現在の状況は本当に厳しいものを感じておりまして、より即効性のある対策、何か考えられないもめかなというふうに思っております。
それで、先ほど大臣の方から米田議員の質問に対するお答えの中で、戻し税等の減税、これは大変評判が悪いという話があったわけでありますが、私も実を言いますと、年末調整時に戻し税タイプの減税等即効性のあるものとして何かできないかなと考えてはおったわけでございます。より早い時点での効果ということを考えて、何か大臣の方にお考えがあればと思うわけですが、いかがでございましょうか。
068 藤井裕久
○藤井国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、私はこの経済の現状というのは一つの循環サイクルがあることは間違いないと思います。経済である以上、当然循環があるのですね。しかし同時に、構造問題というものが非常に深くかかわっている。しかも、資産インフレ期のいろいろなひずみが残っている。
こういうことを考えますと、今のようなものを地道にやっていくことが大事であって、構造政策
を無視してお金たけ注ぐ、つまり総需要政策ですね。総需要政策だけで景気が立ち直るというような、しかも即効的にですね、そういう状況でないということだけは素直に我々は考えながら、地道にやるべき底固めはしっかりやらなければいけないと思います。底固めはしっかりやりながら、地道な対策もあわせてやっていくという時期ではないかと考えております。
069 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。
大臣の誠意あるお答えをいただきまして感謝しておりますしかるに、先ほど大臣自身も所得税減税のところで心理的効果云々もおっしゃっておられたように、やはり国民の心理的な不安といいますか、景気に対する先行きの不安感、これは大変なものだと思うわけでございます。地道な努力ももちろん大切かと思いますが、ぜひそういった心理的な部分に働きかけるような対策、ぜひ何か目玉になるようなものがあれば引き続き努力をお願いしたいものだと思います。よろしくお願いいたします。
それで、次に為替の円についてちょっとお伺いさせていただきます。
一時期大変な円高の勢いがつきまして、一ドル百円に迫る時期があったわけでございます。その後、調整局面というのでしょうか、一休みという感もするわけでございますが、まずもって本日の午前の寄りつきはどのくらいであったかお伺いしたいと思います。お願いできますでしょうか。
070 加藤隆俊
○加藤(隆)政府委員 本日の東京市場における寄りつきは百七円七十銭でございます。
071 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。
そういった水準でありますが、こういった円高の水準、いろいろな見方もあるかとは思うのですが、四年近くも減益を強いられている多くの輸出産業においては、この水準自体本当に耐えられないものがあると思うわけであります。私の地元広島におきましても、自動車産業マツダを初め地域を支えている多くの自動車関連産業、これが悲鳴を上げて、地域経済自体が大変沈滞しておるような現状でございます。
そもそも政府のこの円高に対する方策、九月には大蔵大臣もG7に御足労なすったわけでございますが、景気対策、緊急景気対策における円高差益の還元等、そういった方策を見ておりますと、現在の円高の水準そのものを容認した上で対策を考えておられるような気がしてならないわけであります。
我が党におきましては、この夏、不況、冷害に関しまして各業界からヒアリングを行ってまいっております。そういった中で、各業界の発言をもう一度振り返ってみますと、例えばこれは八月二十四日の段階でありますが、鉄鋼業界の方からは一ドル百二十円から百三十円でなければ競争力は持てないというような意見もございました。また、これは十月二十一日の段階でありますが、日本経営者団体連盟、こちらの方からは一ドル百十五円プラス・マイナス五円を希望するというような話も出ておるわけであります。そういった意見もあるわけでありますが、その一方で、海外の方、アメリカの方からは、高官筋の話としまして一ドル八十円というような発言まで飛び出しているということを考えますと、米国の方からは貿易不均衡是正のため一層の円高圧力もかかってきておるのではないかということを感じるわけでございます。
こういった中で、政府の対応を見ておりますと、日本政府としてその与えられた円高水準、実際にあらわれた水準に対して泥縄式に対応をとっておるのではないか。要するに、後手後手に回るような感がしてならないわけであります。この辺は、投機等の関係でいろいろ難しい問題があるかとは思うわけでありますが、現在の日本経済の状況として、あるいは国際状況においてあるべき日本政府として考える為替水準、これはある程度の信念、考えは持っておくべきではないかと思うわけであります。その辺について御意見を聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
072 藤井裕久
○藤井国務大臣 今、岸田委員の御指摘の九月二十五日からのG7では、私はこう言いました。さっきもちょっと言ったのですが、経済政策はいろいろやっているのだ、また、一時はサイクルとしては一つの底があったのだけれども、こうだめになった中には急速な円高があったのだ。このことが日本経済に水をかけた、そのことは世界経済にとってもマイナスなんだということを私はG7で申しました。
しかし、水準は幾らがいいかということについては、これは私としては触れるべき立場にはないということもあえて岸田委員には申し上げたいと思いますが、今毎日一兆ドルから九千億ドルの金が世界の市場を回っているわけでございますし、その中で日本の外貨準備は九百億ドルちょっとですから、もうけたが違うわけですね。そういう中で、私のような者であっても、その発言でどちらへ振れるかわからないような振れ方を目先するわけです。したがって、私どもは今の為替レートがどうだということについては触れるべきことではないということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
そこで、対策は何か。今ここいらが理想的な姿だということではなく、まず何よりもこのように円高になってきた根幹というのは、恒常的に大きな経常収支の黒字がたまり過ぎでいるということ等々なわけです。それには、やはり内需拡大をしていかなければならない等々のことがやはり基本的な対策であって、それにしっかり取り組んでいくことが、やや迂遠のような御印象を持たれるかもしれませんけれども基本的な円レート対策であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
073 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。
これは、確かに今大臣もおっしゃったように大変微妙な問題でもありますし、影響も考えますと難しい問題ではあるとは思いますが、やはり先ほども申しましたように、ぜひその中で主体的にこの為替の動向について方策をしていただければと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
続きまして、金融機関の金融の円滑化ということで少しお尋ねさせていただきたいと思います。
先ほども言いましたように、大変なこの不況の中で景気回復ということを考えますと一金融機関の責任、役割は大変大きいものがあると思うわけでございます。九月二十一日、公定歩合史上最低一・七五%が決定されたわけでありますが、一方で、地元、地域の方でいろいろ話を聞いてみますと、金融機関の貸し渋りといいましょうか、または金利を下げるに当たってもやはりタイムラグがあるということから、統計としまして、金融機関の利ざやというのは公定歩合を史上最低にしたにもかかわらず拡大しておる、要は金融機関にお金が残っておるような状況にあるわけであります。これは、こういった景気回復を促すという意味から大きな問題ではないかと思うわけであります。
その原因はどこにあるのか。これはいろいろな原因があるとは思うわけでありますが、一つの大きな原因としまして金融機関にあります不良債権の存在、これが貸し出しにおいて大きなネックになっているのではないかなと思うわけであります。資金の流れを円滑化するという上からも、この問題を放置することはいかがなものかなと思うわけでありますが、都銀、長信銀、地銀あるいは住宅専門会社、ノンバンク、いろいろな金融機関があるわけでございます。そういった金融機関におきます不良債権の残高、現在との程度把握されておられますか教えていただければと思います。よろしくお願いします。
074 寺村信行
○寺村政府委員 本年三月末現在の金融機関の不良債権の状況について申し上げます。
都銀、長信銀、信託二十一行の破綻先債権及び六カ月以上延滞債権の合計額は十二兆七千七百四十六億円でございます。地方銀行六十四行の破綻先債権は約五千六百九十二億円、第二地銀六十六行の破綻先債権は三千八百六十三億円でございます。
なお、ノンバンク等につきましては、業種が非常にさまざまでございまして上場企業も少ないことから、経理基準の統一がされておりませんことで、不良債権額についてはディスクロージャーは行われていないという状況そございます。
075 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。
今数字の方教えていただいたわけでありますが、この不良債権、これは基準がいろいろ難しいと思うわけであります。例えば、今把握されておられる数字の中には、貸し出しでも金利のみを現在支払っておって、それで元本の支払いは到底不可能な状況のものとか、あるいは返済のためにさらに貸し増しをしておるとか、そういった部分は含まれていないと思うわけであります。今十二兆少々の数字が出たわけでありますが、そういったものを含めますと、一説には五十兆から六十兆という不良債権があるのではないかというようなことも言われておるわけであります。
そこで、その数字の方は、恐らく当局の方は基準が難しいということで数字を把握されてはおられないと思いますので、あえてお伺いするべきではないと思いますので省略いたしますが、一説にはそういった莫大な不良債権があるという中で、これは昨年でしたでしょうか、共同債権買取機構が発足したわけであります。不良債権の整理を目的としてこういった機構が発足したわけでございますが、この共同債権買取機構は現在十分機能しておるのか、実績等もし教えていただければと思うわけでございます。
076 藤井裕久
○藤井国務大臣 今の岸田委員御指摘の金融の構造の問題、特に不良債権の問題は非常に重要だと思って、先ほどから構造問題という中にいつもそれを含めていたわけです。そういう中で共同債権買取機構をことしの一月につくったわけです。
あえて一月からの数字で申しますと、ほぼ一兆九千億買ったのです。そして、それを一兆一千億にして買ったわけですね。だから、八千億は金融機関の損が立っています。それは当初の予定からいくと、私は順調な数字だと考えておるのでございますが、問題はその次でありまして、その買った一兆一千億なり一兆九千億のうち、担保処分して回収したのが四十四億円なんですね。一兆に対して四十四億円でありまして、これが非常に機能してないということが問題だと思います。
それが、担保がほとんど不動産でございますから、要するに不動産処分ができないということで御理解をいただきたいと思うのでありますが、最近になりまして、債務者の秘密の保持ということもあって、それがどういうものかというものを余り公表してなかったのですが、これをなるだけ、もちろん債務者の了承をいただいて公表しているわけですね。公表して、例えば地方団体だとか住都公団だとか、非常に土地を必要とするところに情報として提供しております。
そういうことを通じてこの流動化を図っていきたいと思っておりますし、特に、九月十六日対策の中にも書いてございますように、監視区域の緩和でございます。これもあわせてやることなどによって、少しでも不動産の流動化を図って不良債権の解決という方に向けて進んでいきたいというのが私どもの姿勢でございます。
077 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。せっかくの機構でありますので、より一層活性化していただきたいと思うわけでございます。
何はともあれ、金融機関、いろいろ言われております。バブル発生の責任等々が言われておるわけでありますが、金融機関そのものを助けるという見地からではなくして、金融資金の円滑化ということにより中小企業を助けるという見地から、この不良債権の整理をより一層進めていかなければいけないと思うわけでございます。
それで、さらにそのために方策を講じるということから、例えば不良債権整理のために公的資金、これは共同債権買取機構発足の際にもいろいろ論議があったわけでありますが、ここで思い切ってさらなる方策としまして、公的資金の導入等々あるいは償却促進のために税制上の措置等々を講じる必要があるのではないかと思うわけでございます。その辺大蔵大臣、いかがでございましょうか。
078 藤井裕久
○藤井国務大臣 これは、この問題の第一歩を踏み出したときいろいろ議論のあったことはもう岸田委員も御承知のとおりであります。ただ、公的資金ということに対しては、今お話の出たような、まず自己の責任において、過去のいろいろな経営の間違いもあるわけでありますから、それを解決すべきであるという基本方針は崩せないということで、公的資金導入は見送っております。
ただ、税制上の措置につきましては償却を促進できるような措置を各般講じておるところでございまして、現在金融機関の自己努力によって相当な償却が進んでいることも事実でございます。
079 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。より一層資金の、金融の円滑化という見地から御努力をお願いしたいと思う次第でございます。
そして次に、この証券市場の活性化という見地からひとつお伺いさせていただければと思います。
まずもって本日の株価、どの程度か教えていただければと思います。よろしくお願いします。
080 日高壮平
○日高政府委員 本日の日経平均株価は、前日比十二円五十銭高の一万八千六百三十七円で寄りつきまして、その後若干下がりまして、前場の引け値は前日比四十三円安、一万八千五百八十三円でございます。
なお、東証株価指数、いわゆるTOPIXでございますが、寄りつきは一・四八ポイント高でございましたが、前場の引け値は前日比六・八ポイント安という状況になっております。
081 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。やはり低迷と申していいかと思うわけでございます。
それで、まずもって大臣、証券市場が大変低迷しておる現状、いろいろな要因があるとは思うわけでありますが、大きな要因としてはどのあたりにあるとお考えでありましょうか、お考えをお聞かせいただければと思います。
082 藤井裕久
○藤井国務大臣 個々の水準については余り申し上げる立場にはございませんが、原因を少し言え、こういうことであれば、企業業績についてまだ先行きが、見通しが立っていない、これが一つ大きくあることは否定できないと思います。
083 岸田文雄
○岸田委員 ありがとうございました。
そういったことでいろいろな要因はあると思うわけでありますが、そういった中で、先日JR東日本の売却が行われたわけでございます。当初六十万ほどに上がったというふうに聞いておるのですが、その後下がっていったということの中で、本日このJR東日本はどういった状況にあるか、お聞かせいただけれはと思います。
084 日高壮平
○日高政府委員 JR東日本株式の本日の寄りつきは、前日と同じレベルの四十七万九千円でございましたが、前場の引け値は前日に比べまして一万六千円安の四十六万三千円、そういう状況でございます。
085 岸田文雄
○岸田委員 そうしますと、引き続き低落傾向にあるということを考えますと、思いますに、タイミングですとか価格の設定ですとか、要はこの売り方自体に間違いというのはなかったのだろうかなと思うわけでございます。NTT株のときもさんざん言われたわけでありますが、その失敗を多少繰り返しておられるのではないかなという気がしてならないわけであります。
今年度はJTの上場予定、あるいは来年度はJR東海ですとかJR西日本もというような話も聞くわけでございます。これから政府保有株の放出、いろいろ出てくる予定がある中で、この辺についてその売り方に間違いはなかったということについて御見解をお伺いしたいと思います。
086 藤井裕久
○藤井国務大臣 NTTのときのいろいろな状況を見ながら、今回のJRの株についてまず一審変えましたことは初めの入札でございます。NTTのときには一割を入札にかけたわけでありますが、今回は三割を入札にかけたわけであります。それが三十八万円という値がついたわけであります。それに対して初値が六十万というふうになったわけでありますが、このときはその三十八万が
安過ぎたのではないかとかいう意見もあるぐらいで、この相場そのものについての水準は私ども語るべきことではないと思っております。
それで、その三十八万に対して六十万がついた。今は落ちつくべきところへ落ちつきつつある状況ではないかと考えておりまして、基本的には私はJR東日本の株式上場の仕方については誤りがなかったように思っております。
087 岸田文雄
○岸田委員 誤りはなかったという話でありますが、私自身思いますに、民営化に伴う政府保有株の放出を行うに当たりまして、どちらかというとひたすら財源の確保の部分に力点を置いて、財源を確保するということに余りに力を入れ過ぎておられるのではないかと思うわけであります。
もちろん財源の確保、これも大切だとは思うわけでありますが、やはり政府としましては、証券市場の活性化あるいは投資家の育成という見地から、もう少しそういった配慮も必要ではないかなと思うわけでございます。ですから、証券市場に対する不安は、一説には十一月暴落説などという話がちまたに出ておるような状況でございまして、景気回復に逆に足かせになっているような気もするわけでございます。
そういった中で、九月十六日の政府の緊急経済対策、読ませていただきますと、何かこの証券市場対策は入っておられないのではないかというような気がするわけでございます。その点も不十分ではないかと思うとともに、証券市場の活性化という見地から、より具体的なその育成策等を打ち出していくことが必要だと思うわけであります。ぜひその辺、御意見を聞かせていただければと思います。お願いいたします。
088 藤井裕久
○藤井国務大臣 この証券問題を経済対策の表に出したのは昨年の八月対策だと思うのです。経済対策第一回目でございますね。そのときは何がきっかけだったかというと、御承知と思いますが一万四千円に暴落したときだったわけでありまして、そういう意味からいうと、一つの柱として証券市場対策があのとき取り上げられたと思います。
しかし、あの施策はその後着実に実行しているわけでございます。株の売買単位を百株にする問題とか、あるいは累積投資制度を入れるとか着々とやっておりまして、それらは今全部実りつつある。実ってきているというふうに考えておりますので、今回は、あえてそういう言葉で九月十六日には触れておりませんけれども、昨年の八月の対策を着実にやるということが一つの証券市場対策であるという前提でやってまいったことは事実であります。
089 岸田文雄
○岸田委員 昨年の八月の対策を着実に進めておられるという話でございましたが、最初の景気対策の部分でもありましたけれども、やはり現状を見ますとなかなか厳しい状況が続いておるのは間違いありませんし、投資家等その心理的な部分を考えますと、本当に不安が大きいと思うわけであります。着実な努力はもちろん引き続きお願いしたいと思うわけでありますが、ぜひ昨今の今申しましたような状況を勘案いただきまして、より一層証券市場の活性化に御努力いただきたいと思うわけでございます。よろしくお願いいたします。
次に、これは先ほど米田議員の質問にもありましたので多少重なるかとは思いますが、相続税に関しまして二言、私も非常にその厳しさを痛感しておる身でありますので、改めてお伺いさせていただきます。
相続税につきましては、ちまたの大変厳しい声を受けられまして、政府におきましても平成五年度、今年度の税制改正で延納利子税の一部引き下げ等御努力もされておられますし、また、国税当局も一相続税申請時に土地の評価を路線価と時価のいずれか低い方で評価することを認められるとか、それぞれ努力はされておられることには敬意を表し申し上げる次第であります。
しかるに実際、現在のちまたの声を聞きますと、本当に相続税に押しつぶされてしまうという悲鳴が多く聞かれるわけでございます。先ほど米田議員のお話にもありましたけれども、日本の税収入全体に占める相続税の割合は、各国に比べましてもけた外れに大きいという事実もございます。特に東京を中心とする大都市では、土地の相続はかなり困難という状況でございます。いろいろな立場の人間がいろいろな形でこの状況を嘆いておるわけでございますが、特に大都市圏におきます事業継承という見地から、この相続税は大変大きな問題になっておると思うわけであります。この事業継承の見地から、やはり一層の努力、配慮が必要ではないかなと思う次第でございます。
御意見をお聞かせいただければと思います。
090 小川是
○小川政府委員 ただいまお尋ねの事業承継に係る相続税、とりわけ今お尋ねの点は土地の高騰に関連しての問題であると存じますが、御案内のとおり一定の小規模宅地、二百平米以下のものでございますけれども、これにつきましては相続税の課税の上で特別の減額割合を設けております。現在のところ、居住用地について六割減額に対しまして、事業用地、お店をやっているような場合については七割の減額をするという措置をとっております。
それから、今おっしゃいましたように、五年度の改正におきまして遺産に占める不動産等の割合が七五%以上の場合には延納利子税の引き下げといったような措置もあわせて講じているわけでございます。
こうした形で大都市における中小企業の事業承継の円滑化措置を図っているところでございます。
091 岸田文雄
○岸田委員 そういった御配慮をされておるということは認識しておるわけでありますが、今お話があったのは、現在そういったことで対応されておられるということだと思うわけでありますしかるに現状、まだまだ厳しい声があるわけであります。ですから、これからさらにということで何かそういった相続税に対する国民の悲痛な声にこたえる方策を考える必要があるのではないかと思うわけでありますが、その点はいかがでございましょうか。
092 藤井裕久
○藤井国務大臣 私は、相続税というのは資産再配分というが、世代交代のときにその資産を再配分することによってなるたけ次の世代の人がイコールフッティングにならなければいけない、こういう一つの理念に基づいてできているのだと思うのですね。しかし同時に、政治には健全な中堅資産家というものを育てていくという大事な仕事があるわけでありまして、その調和の問題だと思うのです、今の話は。
そして、さっきから申し上げているように、特に大都市について土地の高騰があったためにその物の考え方が崩れて、いわゆる健全な中堅階級というのでしょうか、そういう方にまで高い相続税がかかってきている。こういうのが実態だと思いますから、そこいらの是正を図ることは重要な政治課題だと私は思っております。
具体的に、では来年何をするのかについては今検討中でございますのでちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、その方向でやらなければいけない課題であると考えております。
093 岸田文雄
○岸田委員 ぜひ一層の御努力をお願いしたいものだと思います。よろしくお願いいたします。
以上、景気から始まりまして、為替あるいは金融問題、それから証券市場、相続税といろいろお伺いしてまいったわけでありますが、基本的には今の日本の経済状況、そして国民一人一人の生活は本当に厳しい状況で、苦労しておる、そういう声がいろいろな問題を通じてわき上がっているということをつくづく私自身思って、いろいろとお伺いさせていただいたわけであります。
これ以外にもいろいろな分野で御努力をお願いしたいと思うわけでありますが、こういった厳しい時代の中で、国民一人一人、本当にあすの自分たちの生活について不安を持っておるわけでございます。大臣そして当局におかれましても、国民のあすに対して指針を与えてもらえるような力強い政策、方針を打ち出していただければと思うわけでございます。
と申しましたのは、例えば政府税調が十六日に
中間答申を出されるというようなことに関しましても、一部言われておりますのは、細川総理訪米前に何かお土産をつくるために答申を急いでおるというような話も聞くわけでございます。これは、そういったことはないとは思いますけれども、そういった声が出るというのは、国民の政権に対する不安感のあらわれではないかと思うわけでございます。そういったことで、より一層気持ちを引き締めて、そして国民にあるべき姿を打ち出していただければと思うわけでございます。
以上、大変稚拙な質問だったかもしれませんが、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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