ロシアで民間軍事会社ワグネルによる反乱は一日でおさまりました…。
急展開のロシア「プリゴジンの乱」「ワグネルの反乱」とは何だったのか
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お待たせいたしました。連載特別編、奥山真司さんに今回の事態をどう考察すべきかポイントを分析いただきました。ぜひご覧ください。明朝まで無料でお読みいただけます!https://t.co/xLey8vuD2T #SAKISIRU #サキシル— 新田哲史 @SAKISIRU編集長 (@TetsuNitta) June 25, 2023
私が今回の反乱において、Twitterで次のような発信をしました。
https://twitter.com/satoshi_hamada/status/1672595214761082880?s=20
このツイートがきっかけで、今後チェチェンと関わることになるかもしれません。
というわけで、まずチェチェンに関する日本国内の報道を紹介します。
今回の反乱でもチェチェンは関わっています。
プリゴジン氏反乱、原因は「取引失敗の怒り」 チェチェン首長が批判https://t.co/IqMu2kBw4D
ロシア・チェチェン共和国のカドイロフ首長は24日、プリゴジン氏の反乱について「彼の娘に望んだ土地を与えなかったことで怒りが頂点に達した」とSNSに投稿し、私利私欲が原因と批判しました。
— 朝日新聞デジタル (@asahicom) June 25, 2023
昨年の記事です。こちらの記事が今回の主眼となります。
ウクライナがチェチェン独立を事実上の承認。ロシア大崩壊の予兆か https://t.co/FRAuvx4EBN
— 週刊SPA!・日刊SPA! (@weekly_SPA) November 12, 2022
以下、記事内容を一部共有しますが、ポイントとしては
・ロシアに屈した側のチェチェン カドイロフ首長
・抵抗して独立を目指す側のチェチェン ザカーエフ首相
両者が存在するということです。
ウクライナのために戦う「独立派チェチェン人」
ロシア軍のミサイルやドローンによる攻撃が続く最中の10月18日、ウクライナ最高会議(国会)は、チェチェン共和国イチケリアの主権を認める声明を採択した(賛成287、反対0、無投票64)。
これは、歴史的意義のある決定だ。
チェチェンはロシア連邦に属する共和国で、人口は約150万人、岩手県ほどの面積しかない。その小さな共和国の主権を認めること、つまり「ロシアから独立した国」としてウクライナ国会が認めることに、なぜ歴史的意義があるのか。
ウクライナ戦争に関心の高い人は、「チェチェン」と聞けばプーチン大統領の傀儡のカドゥイーロフ首長が国内で独裁を振るい、その私兵をロシア軍の一員としてウクライナに侵略に参加させ、ウクライナ人を攻撃し狼藉を働いていることを思い浮かべるだろう。
それは事実なのだが、実は「もう一つのチェチェン」が存在するのだ。「もう一つの」というよりは「本来のチェチェン」が存在する。それは、ロシアの支配に屈せず、弾圧を受けてヨーロッパなどに亡命した独立派チェチェン人たちである。
彼らは、2014年にロシアがクリミアを一方的に併合し、ウクライナ東部を侵略したときからウクライナ入りして、ウクライナのためにロシアと戦っている。そして、2月の全面侵攻以降は、その数を増している。
(中略)
かつてはウクライナ人がチェチェンのために戦っていた
そして今、“ロシア帝国”に屈服したカドゥイーロフ派がチェチェン共和国で独裁権力を握り、恐怖政治を続けている。その“親分”のプーチン大統領と“子分”のカドゥイーロフ首長が連携してウクライナを攻撃。それに対して、ウクライナとチェチェン軍(チェチェン独立派軍事勢力)がウクライナ戦争で対決する構図になっている。
かつてロシア軍がチェチェンに侵攻して住民を大虐殺していたころ、多くのウクライナ人はチェチェンを助けるために義勇兵としてロシア軍と戦っていた。1995年初頭に撮影されたと考えられるYouTube動画では、チェチェン兵とともに戦うウクライナ義勇兵は、こう明言していた。
「チェチェンのために戦うのは、ウクライナを守ることである」
そして27年後の今、「ウクライナのために戦うのは、チェチェンを守ることである」と明言して、チェチェン人義勇兵たちがウクライナのために戦っているのだ。
このように、チェチェンを通した視点で見ると、ウクライナ戦争の違う側面が見えてくる。
(中略)
チェチェンを皮切りに、ロシア国内の少数民族地域で分離独立運動!?
ウクライナ高会議によるチェチェンの主権確認が「歴史的」だと冒頭で述べたのは、過去から現在までの両民族による抵抗の歴史を踏まえたものだが、さらには近未来を示唆しているともいえる。
最高会議がチェチェンの主権を確認した日、ウクライナ国防省のキリロ・ブダーノフ情報総局長は、「(ウクライナでの)戦争が終結すれば、一部の地域がロシアから分離するだろう」と指摘し、それはコーカサス地方から始まると述べた。
ロシア連邦南部の「コーカサス地方」と広い地域を指しているものの、そこに位置するチェチェンを意識していることは間違いない。
今回の議会での決定は、正式な国家承認のように公使館を開設するようなものではないが、チェチェンの独立を認めたも同然だ。
ウクライナ状勢次第(特にロシアの敗北)では、ロシア連邦の崩壊と混乱が起きる可能性がある。チェチェン分離独立の再燃が、その起爆剤になる可能性があるのだ。そして、それがモスクワの権力に反感を持つ多くの少数民族地域に飛び火することも十分に考えられる。
10年、20年後に振り返ってみた時、今回のウクライナ最高議会の採択が歴史のターニングポイントになるかもしれない。
文/林克明
ロシアによるウクライナ侵攻において、チェチェンの位置づけは重要であるように思います。
最後に、記事途中でツイートを介して紹介した岡部芳彦教授が出演している動画を紹介しておきます。