2021年の3月に、衆議院総務委員会において日本維新の会の足立康史衆議院議員とNHK前田会長とのやり取りで、次の様なものがありました。
〇足立委員
(中略)NHKを見られないテレビをちゃんとニーズに応じてメーカーが売ればそういうニーズにも応えることができる、それはメーカーの問題だなというふうにおっしゃるのが適切だと思いますが、いかがでしょうか。○前田参考人 お答え申し上げます。
委員のおっしゃるとおりかもしれません。(以下略)
NHKを見られないテレビをメーカーが作って販売する、というのは、NHKがテレビに関する特許などの権利を多数抱えている等の関係で認められない、というのが私の認識だったわけです。
この点に関して、浜田聡事務所の公設第一秘書の末永ゆかりさんに動いてもらい、NHKに質問をしてもらいました。そして回答が届きましたので、ここで共有します。
NHK及び関連団体が保有しているテレビの製造・販売に関する特許権についてNHK経営企画局より質問の回答が参りましたので、共有させて頂きます。必要に応じてご活用ください。
【質問内容】
NHKもしくは放送技術研究所が保有する特許とその特許権について、
1.テレビを製造・販売する工程で、使用許可が必要な特許についてその詳細を教えてください。
2.1.について、使用許可に際して使用料等の支払いは発生いたしますか?発生する場合、今まで使用料として支払われた実績を教えてください。
3.NHKもしくは放送技術研究所が有している特許は、NHK受信料(視聴者の負担)によって開発された技術という理解でよろしいでしょうか。
4.テレビを製造・販売する工程における特許については、国民の利益にかかるもののため原則として特許を開放すべきではないかと思いますが、それに対する見解を教えてください。
参考リンク
松下幸之助がラジオの特許を開放
https://konosuke-matsushita.com/episodes/management/no15.phpNHKの研究開発:広報概要
https://www.nhk.or.jp/strl/publica/giken_dayori/179/1.html【回答】
1.テレビを製造・販売する工程で、使用許可が必要な特許については、「パテントプール」※1 という仕組みで、特許を利用したい事業者等に一括して実施許諾している。NHKは、放送電波の受信から映像・音声・データの提示までに必要なデジタル放送技術に関連する特許の一部を保有している。
※1「パテントプール」複数の特許の権利者(特許権者)が、それぞれの所有する特許の許諾に関する権限をパテントプールの管理会社に与え、一方、管理会社は預かった特許を利用したい事業者等に一括して許諾する仕組み
2.NHKは、パテントプールの仕組みの中で、実施許諾に伴う特許料を受け入れている。特許料として支払われた契約ごとの実績について、NHKは公表していない。
3.NHKの保有する特許は、受信料を主とした財源で実施した研究開発の成果となっている。
4.NHKが保有する特許は、利用を希望する誰もが非差別・公平に利用することができる。利用に際しては、さらなる放送の進歩・発達のために、NHKの副次収入として、 実施許諾に伴う特許料を受け入れている。
ということです。
とりあえず、まとめると以下のような感じでしょうか。
・NHKの持っている特許は利用する誰もが利用することができる
→NHKが映らないテレビをメーカーが作ることは(一応)可能
・NHKの持っている特許の利用に際しては、特許料が必要
→特許が膨大であり、特許料次第ではメーカーは断念に至る可能性あり
ということで、NHKが映らないテレビをメーカーが作りたいと思うかどうかは???です。