ロシアのウクライナ侵攻から2か月が過ぎました。
今後どのような展開になるのか、分かりませんが、一方的な主張でウクライナへ侵攻するロシアが早く諦めることを願っています。さて、日本では核共有の話題が聞かれるようになっています。
SNS上で専門家の話をチェックしてみると、国会議員とは前提となる知識が違っているようで、私は勉強の必要性を感じています。
その一例の岩間陽子氏のツイートを紹介します。
「核共有」の議論が盛んになっていて、そのこと自体は全くその種の議論がなかった日本で大きな進展だと思いますが、一つ誤解されているらしきことがあります。これまで相手の中枢部に届く戦略核が「共有」の対象となったことはありません。1/7 https://t.co/OyCYBuEhDZ
— Yoko Iwama 岩間陽子 (@2000grips) April 22, 2022
ごく初期のICBM開発前の時代に、ソーとジュピターという中距離弾道ミサイルが共有対象となったことはありますが、それ以後は全くありません。ここをアメリカが変更する可能性があると考えてはいけないと思います。海洋型の核共有が議論されていますが、3/7
— Yoko Iwama 岩間陽子 (@2000grips) April 22, 2022
多くの人がそこの所を理解していません。もちろん過去なかったからと言って未来永劫ないとは言えませんが、そこはおそらくNPTから出る、くらいの大きな話になります。今あるNATOの核共有が、1968年発足時にNPT体制で容認されたのは、5/7
— Yoko Iwama 岩間陽子 (@2000grips) April 22, 2022
この記事の松川るい氏が提唱されている米戦略原潜の「共有」というのは、そこの大転換がない限り不可能で、私は予見しうる将来、実現可能性はないと思います。7/7 https://t.co/G3naTykjKo
— Yoko Iwama 岩間陽子 (@2000grips) April 22, 2022
色々と指摘されていますが、ひとつ抜粋すると、
各共有の対象となるのは戦術核であり、戦略核ではない。
ということのようです。戦術核と戦略核の違いは以前取り上げました。
やはり核共有の対象が戦術核だということを知らずに議論していたのか。核の運用と態勢を知らずに無責任な議論をするのはやめてもらいたい。
— Tetsuo Kotani / 小谷哲男 (@tetsuo_kotani) April 22, 2022
もうひとつ重要なこととして、NPT体制が挙げられます。この機会に確認しておこうと思います。
(1)条約の成立及び締約国
ア 核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons : NPT)は、1968年7月1日に署名開放され、1970年3月5日に発効(我が国は1970年2月署名、1976年6月批准。)。
イ 締約国数は191か国・地域(2021年5月現在)。非締約国はインド、パキスタン、イスラエル、南スーダン。
(2)条約の目的と内容
ア 核不拡散:
米、露、英、仏、中の5か国を「核兵器国」と定め、「核兵器国」以外への核兵器の拡散を防止。(第1、2、3条)
(参考)第9条3「この条約の適用上、「核兵器国」とは、1967年1月1日以前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国をいう。」原子力の平和的利用が軍事目的に転用されることを防止するため、非核兵器国が国際原子力機関(IAEA)の保障措置を受諾する義務を規定(第3条)。
イ 核軍縮:
締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定(第6条)。ウ 原子力の平和的利用:
原子力の平和的利用は締約国の「奪い得ない権利」と規定(第4条1)。(以下略)
核共有についての議論は色々と難しいと思いつつ、上記のようなことは確認しておこうと思っています。
非核三原則は国会での議決のようなもので、再度国会で否決するなどして何とかなるのかもしれませんが、NPTは条約なので、それを乗り越えるハードルは非核三原則とは比べものにならないように思えます。
ひろゆき氏の下の動画を共有しておきます。
こういう意見もあります。
前統合幕僚長 河野克俊
ウクライナ戦争は戦後世界が信じて疑わなかった安全保障の前提を大きく崩すことになった。
●崩壊したNPT体制⁰ 第一は核管理を支えてきた核拡散防止条約(NPT)体制の実質的な崩壊である。NPTは核軍縮を目的に1968年に国連総会でhttps://t.co/rPSuo4Jof4— 柳原由起夫 (@yukiopower) April 5, 2022
拡大抑止の有効性の文脈で、ジョセフ・ナイが在日米軍基地の存在による米軍兵士の人命こそが最大の抑止力、つまり米軍兵士の命が日本に対する核攻撃で失われれば、確実に米国は報復するため、核共有は不要と話していたのが印象的だった。https://t.co/Jghf5slTtZ
— 佐々木 れな/ Rena Sasaki (@rena_in_dc) April 15, 2022
核共有について色々な意見があり、どこを落としどころとするのか、非常に難しそうです。