今回は(も?)、令和3(2021)年11月10日に私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。
質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。
特徴
質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。
議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。
また、衆議院事務局がYouTubeで質問主意書に関する動画を作っており、参考として紹介しておきます。分かりやすくまとまっていると思います。動画の最後にあるメッセージが良いと思いました。
今回は丸山穂高前衆議院議員が衆議院に提出した質問主意書を私が内容をそのまま引き継いで参議院に提出したものです。丸山穂高前衆議院議員が提出して間もなく衆議院が解散となり、答弁先がなくなったために答弁書が作られないこととなりました。
消費者を誤認させるステルスマーケティングの手法によるアフィリエイト広告等の是正に関する質問主意書
そのままではせっかく書かれた質問主意書が無駄になるので、私がフォローして提出したという次第です。
今回はステルスマーケティング、いわゆるステマに関する質問です。
「ステマ」と呼ばれることもある。 それが何らかの宣伝・広報であることを消費者に隠して行う活動のことを指す。 ステルス(stealth)には、「内密」「人目を忍ぶ」といった意味があり、ステルスマーケティングは、中立的な立場での批評を装ったり、商品と直接の利害関係がないファンの感想を装ったりして行われる。
関連動画を紹介しておきます。
ステルスマーケティングについて知らない方はこの機会に知ってもらえれば、と思います。
あと、アフィリエイトについての解説も追加しておきます。アフィリエイトは私も時々このブログで利用しております。こんな↓感じのやつです。※アフィリエイトの厳密な定義に当てはまるかどうかは分かりませんが。
ちなみに、↑の本の中で私の国会議員としての減税活動をご紹介いただいております。
アフィリエイトとは、インターネットを利用した広告プログラムの一種です。 ECサイトやオンラインショップで販売されている商品をウェブサイトに掲載すると、そこから発生した売り上げの一部が還元されます。 つまり、商品を自分のメディアで紹介することによって、お金を稼ぐことができるようになる仕組みです。
今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。
消費者を誤認させるステルスマーケティングの手法によるアフィリエイト広告等の是正に関する質問主意書
インターネットを用いた通信販売(ネットショッピング)については、新型コロナウイルス感染症への対策として、「新しい生活様式」において、その利用が拡大している。総務省が公表している家計消費状況調査においても、令和二年五月にはネットショッピングを利用する二人以上の世帯の割合は、調査を開始した二〇〇二年以降で初めて五割を超えた。こうした中で、消費者を誤認させるステルスマーケティングの手法によるアフィリエイト広告等の事例が問題となっており、消費者庁においてもこのような問題への対策について、令和三年中を目途に一定の結論を得るよう、「アフィリエイト広告等に関する検討会」(以下「検討会」という。)で対策の検討を進めることとしている。
右を踏まえ、次の事項について質問する。
一 米国では、広告主がニュース形態などの出所、性格を誤認させる広告、アフィリエイトによる報酬を受け取った事実を隠した推奨や、ステルスマーケティングの手法により、「広告でない」と誤認させる広告については、連邦取引委員会法第五条に違反すると明示されており、連邦取引委員会が措置を講じている。また、連邦取引委員会は、「広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン」(二〇〇九年)において、広告主と推奨者との関係の有無や金銭授受の有無を開示する義務を課すことによる規制を設けている。「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(平成二十四年五月九日一部改定)において、連邦取引委員会のガイドラインを引用していることから、消費者庁では、内容把握をしているものと思われる。我が国においても、同様の規制を広告主及び推奨者に課すことが必要であると考えるが、現在、規制対象としていない理由は何か。政府の見解を問う。
一について
御指摘の「広告主及び推奨者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号。以下「景品表示法」という。)第五条の規定において、事業者が行う不当な表示を禁止しており、御指摘の「広告主及び推奨者」の行為が同条に規定する要件に該当する場合には、景品表示法による規制の対象となるものと考えている。
なお、消費者庁において、令和三年六月以降「アフィリエイト広告等に関する検討会」(以下「検討会」という。)を開催しており、今後、検討会において、景品表示法の適用等について議論されるものと考えている。二 EU(欧州連合)では、不公正取引方法指令(二〇〇五年)において、誇大広告やおとり広告等の不公正とみなされる取引方法を列挙した附属書一がある。この中の項目十一で、ステルスマーケティングの手法について、「販売業者が広告費を支払ってメディアのコンテンツを作成させ、かつ、その事実を消費者が明確に識別できるよう明示していない場合」として、具体的に挙げて禁止している。我が国の現行の、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号。以下「景品表示法」という。)では、優良誤認表示などを伴う広告が不当表示として規制対象とされているが、「公正な市場秩序を乱す行為」として、例えば金銭を受け取っていながら公平な消費者や専門家の独立した意見であるかのように装って推奨表現している広告などについて、EUのような具体的な列挙による規制を行っていない理由は何か。政府の見解を問う。
二について
お尋ねに関しては、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(平成二十三年十月二十八日消費者庁公表。以下「留意事項」という。)において、「商品・サービスを提供する事業者が、顧客を誘引する手段として、口コミサイトに口コミ情報を自ら掲載し、又は第三者に依頼して掲載させ、当該「口コミ」情報が、当該事業者の商品・サービスの内容又は取引条件について、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる」と記載しているところ、御指摘の「金銭を受け取っていながら公平な消費者や専門家の独立した意見であるかのように装って推奨表現している広告など」が当該記載に該当する場合には、景品表示法による規制の対象となるものと考えている。
また、留意事項において、「問題となる事例」として具体的事例を示しているところである。三 検討会においては、アフィリエイト広告が不当表示につながりやすい点への懸念が示されている。しかし、一般的にはアフィリエイターは商品販売をしないため、現行の景品表示法の規制では、その適用対象とならず、あくまで広告主を対象とした規制にとどまるものとなっている。
1 消費者庁においては「広告も創作物に当たり、表現の自由を損なわないよう慎重な対応が必要」という姿勢であるが、報酬を得る目的で不当表示を行うことを、表現の自由として認めることは、消費者への不当行為を放置することになりかねないのではないか。検討会において、報酬等利益を得る目的で作成された不当表示について、商品を供給する事業者以外の者に対しても罰則を科すなど悪質な行為を防止するような対策を検討する必要があるのではないか、政府の見解を問う。
三の1について
お尋ねの点については、今後、検討会において議論されるものと考えている。2 消費者に対し、中立な第三者の見解であると誤認させるステルスマーケティングの手法については、事業者又は第三者が行う場合のいずれについても、不当に顧客を誘引し、消費者の合理的な選択を阻害する表示にほかならず、景品表示法第五条第三号の規定にある内閣総理大臣の指定により、当該表示を不当表示として禁止することで対策を講じる必要があるのではないか、政府の見解を問う。
三の2について
お尋ねの点については、今後、検討会において議論されるものと考えている。
なお、御指摘の「ステルスマーケティングの手法」の意味するところが必ずしも明らかではないが、景品表示法第五条の規定において、事業者が行う不当な表示を禁止しており、御指摘の「ステルスマーケティングの手法」が同条に規定する要件に該当する場合には、景品表示法による規制の対象となるものと考えている。3 景品表示法第五条は、事業者が「自己の供給する商品又は役務の取引について」、優良誤認表示などをすることを禁止しており、推奨者のような事業者以外の者が、事業者の供給する商品又は役務の取引について不当表示を行うことは規制の対象とはなっていない。しかし、景品表示法第一条の「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護する」との目的を踏まえれば、事業者であるか推奨者であるかを問わず、消費者の合理的な選択を阻害する行為自体を規制すべきではないか、政府の見解を問う。
三の3について
お尋ねの点については、今後、検討会において議論されるものと考えている。
なお、御指摘の「事業者であるか推奨者であるかを問わず」の意味するところが必ずしも明らかではないが、景品表示法第五条の規定において、事業者が行う不当な表示を禁止しており、御指摘の「事業者」又は「推奨者」の行為が同条に規定する要件に該当する場合には、景品表示法による規制の対象となるものと考えている。4 表示規制の対象について、現行の景品表示法では、「自己の供給する商品又は役務の取引について」として、自己の供給に限定している。この限定を残した表示規制では、消費者の合理的な選択を阻害する要因を残すことになるものと考えるが、検討会においてはこの点を検討しているか。また、消費者庁としては、現時点で消費者の合理的な選択を阻害する要因を解消するための方策としてどのようなものを考えているか、政府の見解を問う。
三の4前段について
お尋ねの点については、今後、検討会において議論されるものと考えている。三の4後段について
御指摘の「消費者の合理的な選択を阻害する要因」は様々であるため、一概にお答えすることは困難である。四 ステルスマーケティングの手法は、著名人等に自らの体験談を語らせる方法等により、インターネット以外の場であるテレビ番組や雑誌等においても行い得るものであり、また、人を雇って入店待ちの行列を作らせて人気店を装うなど、実店舗においても行われ得るものである。米国及びEUでは、インターネット以外でのステルスマーケティングについても規制があることから、このような場合についても規制することが必要ではないのか。また、事業者と推奨者以外にも、代理店やフランチャイズの店舗といった関係者(アフィリエイト広告においてはアフィリエイトサービスプロバイダーなど)が、ステルスマーケティングの手法に関与することが考えられるが、このような者についても規制が必要ではないか、政府の見解を問う。
四の前段について
お尋ねに関しては、景品表示法第二条第四項において、表示とは「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう」と規定されているところ、お尋ねの場合が当該表示に該当するときには、景品表示法による規制の対象となるものと考えている。四の後段について
御指摘の「事業者と推奨者」及び「代理店やフランチャイズの店舗といった関係者(アフィリエイト広告においてはアフィリエイトサービスプロバイダーなど)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、景品表示法第五条の規定において、事業者が行う不当な表示を禁止しており、御指摘の「事業者と推奨者」又は「代理店やフランチャイズの店舗といった関係者(アフィリエイト広告においてはアフィリエイトサービスプロバイダーなど)」の行為が同条に規定する要件に該当する場合には、景品表示法による規制の対象となるものと考えている。なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法第七十五条第二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。
右質問する。
丸山穂高議員には事後報告とさせていただきました。この質問主意書と答弁書によってステルスマーケティングに関する問題意識が多くの方に共有されることを願っています。
引き続き、丸山穂高前衆議院議員が提出した質問主意書を引き継いで私が提出した質問主意書を紹介していく予定です。