以前、医療現場の最前線で新型コロナウイルス感染症の対応をされている内科医と思われる方がTwitter上で大変興味深いツイートをされていました。新型コロナウイルス感染症に関する4択のクイズです。(医療関係者にとって)基礎知識の確認に良いと思いましたので、紹介してきました。このシリーズは今回が最後です。
※1問目~50問目までは、以前の記事に加え、さらに改訂版をまとめています(以下のリンクリストは改訂版のみ)。
今回は96問目~100問目を紹介します。
どの選択肢がどれだけ選択されたのかが既に出ていますが、気にせず皆様も答えを考えてみると面白いと思います。
※最多の選択肢が解答とは限りません。またCOVID-19の医学は日々急速に進歩し、数ヶ月で内容が更新され古くなり、解説の解答が違ってくる可能性もあり、解説はあくまで”出題された当時のもの”であると考えてください。
今回の問題は小児のコロナ感染症やワクチン接種に関して考えるきっかけになる問題が多いと思います。専門家の説明動画を紹介しておきます。
まずは96問目。
【問題96】
ワクチンの普及に伴い、現在ワクチンの接種対象外となっている小児の新型コロナ感染症の割合が増え、小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)という概念の疾患が問題になっている。これについて正しい選択肢を選べ。(下記)— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 30, 2021
【問題96解答】正答:c)
小児多系統炎症性症候群MIS-C/PIMSは、21歳未満に起きるCOVID-19感染後2-6週頃に発生する川崎病に類似した多臓器障害を起こす重篤疾患です。
下痢や腹痛から始まり急激に心不全やショックに陥ってしまい、その7割が集中治療を必要とし中にはこれでECMOになってしまうことも。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
また、従来の川崎病は日本人など東アジア民族に発生することがほとんどですが、小児COVID関連多系統炎症性症候群MIS-C/PIMSはアフリカ系、ヒスパニック系、カリブ系の民族にも好発するようです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
97問目。
【問題97】
米国FDAではファイザーのコロナワクチンの5-11歳の緊急承認が通った状態である。
今回の承認による5-11歳の接種の投与量の場合、通常の投与量(1回30μgで、3週間あけて2回投与)での16-25歳世代に比べて副反応はどのように違うとFDAは報告しているか。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 30, 2021
【問題97解答】正答:d)
新しい情報なのでわからなかった人が多かったようですが、ファイザーのコロナワクチンの場合は問題94にありましたように、5-11歳:10μgの投与で、3週間をあけて2回接種
です。12歳以上の1/3の投与量となりました。このため、副反応の出方などにも若干違いがあるようです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
接種部位の発赤、腫脹、疼痛は5-11歳以下の方が多くなりそうですが、それ以外の副反応は10μg以下の量ですと全部少なくなるようです。
これで感染予防効果90%以上なので、すごいことですね。https://t.co/ZH9IGYFw60 pic.twitter.com/ehx7OyYZdC— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
このため、5-11歳の年代の子供さんも、ご本人の理解がえられ、前向きな場合は、ぜひファイザーワクチンでの接種をご検討頂けたらと思います。
FDAの緊急使用の申請は通りましたので、多くの国で、この年代の接種はまもなく始まると思われます。(日本も始まってくるだろうと思います)
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
98問目。
【問題98】
10代および10代未満の小児の新型コロナ感染症では、重篤化よりもむしろその後遺症(いわゆるlong COVID)の方が大きな問題となりうる。
10代の場合の後遺症の症状で多いものは、・咳
・嗅覚障害
・集中力の低下
・全身倦怠感
・息苦しさである。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 30, 2021
【問題98解答】正答: b)です
これもずいぶん割れてしまいました。💦
こういうのは国とかによってもまだばらついた報告が出るかもしれませんが、一応日本で、最近報告があったものということでNHKにも報道があった世田谷区の調査を参考にします。https://t.co/Wq6WLKQr4D— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
ちなみに不適切問題になっちゃったのですが、『10代未満』の場合は何が多いかというと、咳が一番多く、45%ぐらいの頻度があるようです。 pic.twitter.com/Lnst0zgOsy
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
99問目。
【問題99】
現在各国で新型コロナワクチンの3回目の接種が進められ、そのデータが集積されつつある。イスラエルの報告で
1)70万人程度の3回目接種者
2)70万人程度の2回目まで打って5ヶ月以上経ったが3回目接種はまだ行っていない人を比較したデータが報告された。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 30, 2021
【問題99解答】正答:c)
1)3回目接種者
2)2回目まで打って5ヶ月以上経ったが3回目接種はまだ行っていない人を比較したデータですが、正直言って2回目接種5ヶ月後といえば、まだ重症化予防効果も死亡抑制も全然良好な時期です。その2回目接種後と比較して、3回目接種後がどうなるかです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
まあ、要するにどう考えても3回目打った方が良さそうだなということです。😅
ちなみに、3回目の副反応は2回目と同等程度とされており、酷くなるわけではないようです。日本政府は全国民の3回目接種を、年齢や基礎疾患にかかわらず順次実施していく方針となりました。
ご検討頂けたらと思います。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
上のデータが記載されているLANCETの論文のリンクを貼っておきます↓。
100問目。
【問題100解答じゃなくてお礼】
ということで、最後駆け足になり、また10月31日のうちに解答を出す予定が8時間ずれ込みました。a)で解答してくださった皆さん、ありがとうございます。
本日をもってこの問題集アカウントは更新停止しますが、2022年3月末まで、閲覧用として残させていただきます。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
これまでの新型コロナウイルス感染症に関する4択問題、私にとって大変勉強になりました。アカウント主の専門家の先生には感謝です。
皆さんの健康とご多幸を心より願っております。
2021年11月1日 pic.twitter.com/r4cDqPidYl
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 31, 2021
どうもありがとうございました。