以前、医療現場の最前線で新型コロナウイルス感染症の対応をされている内科医と思われる方がTwitter上で大変興味深いツイートをされていました。新型コロナウイルス感染症に関する4択のクイズです。(医療関係者にとって)基礎知識の確認に良いと思いましたので、紹介していきます。
※1問目~50問目までは、以前の記事に加え、さらに改訂版をまとめています(以下のリンクリストは改訂版のみ)。
今回は81問目~85問目を紹介します。
どの選択肢がどれだけ選択されたのかが既に出ていますが、気にせず皆様も答えを考えてみると面白いと思います。
※最多の選択肢が解答とは限りません。
まずは81問目。
【問題81】
正しい解答を選択せよ。①COVIDワクチン接種後の急性心筋炎の発症率は、COVID感染自体による急性心筋炎の発症率に比べ極めて低い
②COVIDワクチン接種後に発症する急性心筋炎の大半は軽症である
③COVIDワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎の危険性を大幅に上回る— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 8, 2021
これが、現段階のmRNAワクチンを含む、新型コロナワクチン接種後の心筋炎に対する、日本循環器学会の公式の見解となります。
アップデートが来るまでは、原則、これに基づいて大筋の判断をしていくことを推奨いたします。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
82問目。
【問題82】
あなたは一般人で、新型コロナやワクチンについてわからないことが多いが、医学雑誌を読んだり、医学論文を読めるほどのベースの医学知識や英語力がない。
正しい行動と思考のパターンを選べ。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 8, 2021
【問題82解答】正答:c)
a)本当の事が知りたくて検索すると怖い事ばかり書いてあって不安になる。❌
↓
twitterによくいるタイプ。
そもそもtwitterやYouTubeなどSNSは趣味や個人ライフを発信するには向いていますが、自然科学のようなデータありき、論文ありきのものを発信するには邪道です。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
b)twitterで「助けてください」と書いて、いち早く回答をしてくれた人のことをまず信じる。❌
↓
これもtwitterによくいるタイプ。体調が悪い、不安なことがあるとすぐtwitterに「😭」この顔文字と共に発信する人。
危ない人が寄って来ます。見ず知らずの人が必ずしも正しいことを言うとは限らない!— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
d)テレビのコメンテーターを信じる ❌
↓
テレビ、特に民放の場合は視聴率ありきなので、過激な発言をする人を好んで採用する傾向があります。
必ずしも正しいこと、最新の知識や、豊かな経験値をもった人を採用せず、過激なことをいう『専門家崩れ』を登場させるケースも多く見られます。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
はたまた、クリニックレベル(無床診療所)で見ているのは、たかだか、コロナ診療の最初の入り口にすぎません。この部分しか見ていなくて、その後の入院後の姿、入院後の実態を全く知らないのに、現場の人間のようにペラペラテレビで語るコメンテーターも多く存在するようです。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
コロナに関しては、非常に情報のアップデートの速度が早く、1ヶ月経つとどんどんどんどん新しい情報が出てきます。ついていくのは本当に大変で、厚労省が遅い場合もあります。しかし、最重要項目については少なくとも各関係学会はきちんと指針を出します。
これをまず調べましょう。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
83問目。
【問題83】
デルタ変異株蔓延下におけるコロナワクチンと妊婦の重症化について正しい記述を選べ。
(選択肢下記)— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
【問題83解答】正答:d)
これはつい最近イギリスから出てきた衝撃的な報告ですね。
δ変異株蔓延下において、イギリスでは重症COVIDの20%がワクチン未接種の妊婦であり、また、16-49歳の女性でECMO管理をされているCOVID-19患者の32%が妊婦であるとの報告。https://t.co/MSvblrI1K0— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 19, 2021
現状のこのような問題を受けまして、挙児希望のある女性は可能であれば妊娠前にCOVIDワクチンを打っておくこと、そして妊娠中の方も、迷わずきちんと打っていただくこと、これが最重要であると考えます。
迷う余地はありません。
妊婦のコロナ感染は、絶対に回避しなければいけません。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 19, 2021
84問目。
【問題84】
⚠️この問題は新型コロナウイルスと全く関係のない問題です。(たまにこう言うのも出します)
コロナ禍以前に日本国内で①10-19歳
②20-29歳の心肺停止は1年間で何例ぐらい発生しているか。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 13, 2021
【問題84解答】正答:d)
コロナ禍以前の日本国内での心肺停止の総件数は毎年、①10-19歳:800-900人程度/1年間
②20-29歳:2200-2300人程度/1年間ざっくり見積もってこれぐらい発生しております。年代にもよりますが、50-60%が心疾患に起因するものであるとされています。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 19, 2021
心拍が再開してくれないと、その後の精密検査も何もできないものですから、心停止のままで復活してもらえないとなりますと、正確な診断名をつけることができないまま、「なんらかの心疾患による突然死」とご家族に説明するしか方法がない結末を迎えることになります。
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 19, 2021
ちなみに、脳出血関係でも突然死はあり得ます。
若い人でも起こりますよ。・脳血管の先天奇形関連疾患→くも膜下出血や脳出血
・脳動脈瘤(20-30代でもあるよ!)→くも膜下出血— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 19, 2021
85問目。
a)15-39歳の年代の100万人あたり10人程度の頻度
b)15-39歳の年代の100万人あたり200人程度の頻度
c)15-39歳の年代の100万人あたり500人程度の頻度
d)15-39歳の年代の100万人あたり800人程度の頻度— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 19, 2021
【問題85解答】正当:d)
新型コロナウイルス感染そのものによって引き起こされるウイルス性心筋炎の発生頻度は、日本国内の15-39歳の男性のデータで、834人/100万人あたり
程度である、と現段階で想定されています。 pic.twitter.com/n6AyJUzZrT
— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 21, 2021
心筋炎の頻度もさることながら、脈拍の伝導路へのサイトカインによる直接ダメージも結構あるようですね。
そう考えると、心筋炎だけで100万人あたり834人ですから、こういった伝導系への直接障害なども加えるともっと人数は多いかも知れません。https://t.co/OcbgE5Ts51— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 21, 2021
a)を選んでる人が多いようですが、COVID19を甘く見過ぎですね。このウイルスは、肺だけではなく、多くの臓器に障害をもたらします。
もう少し、状況を深刻に捉えてもいいと思います。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 21, 2021
っていうの、ありましたね。😭
きっとうちだけじゃ無いと思います。ああいうの、他の病院でもいっぱい発生してたと思います。— Dr.丼のCOVID問題集 (@sguardo_bot) October 21, 2021
問題85の心筋炎については、コロナワクチンによる心筋炎よりも新型コロナウイルス感染症による心筋炎の方がはるかに頻度が高いことを知っておくと、ワクチン打つと心筋炎が心配だ、といった安直なワクチン批判を避けられると思います。
心筋炎については、私自身が臨床現場で出会った記憶があまりないので、こういう↓動画などで勉強しておきます。
今後も引き続き、問題と解答を紹介していきます。
ところで、今後のNHK党の選挙方針である「諸派党構想」に関する書籍が発売されています。NHK党をよく取材いただいているライターさん(立花孝志かく闘えり、のライターさん)が書かれたものです。もしよければ書店や図書館などで手に取ってみてください。