先日、NHK党の立花孝志党首がYouTube動画上で裁判所に対して怒りをぶつけました。
内容については動画にまかせるとして、裁判所の裁判官も人間ですから、人によっては納得いかない判決がなされることはあると思います。
完璧な判決ばかりというのは無理としても、ある程度合理的な仕事を裁判所にしてもらうためには、一般国民の裁判所に対する監視は非常に重要であり、それを担保するものとして、裁判公開の原則があります。
第八十二条
裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。
さて、確かに裁判は公開されているのですが、果たして公開だけで十分でしょうか?例えば、国会での審議はインターネット中継が始まってそれなりの期間が経過しています。しかし裁判はどうでしょうか?インターネットでの中継などはおろか、テレビなどでも裁判中の様子などはテレビドラマなどを除けば見ることはできません。
上で紹介した動画などの裁判所への不満は、このインターネット時代において放置しておくとそのうち国民の怒りが爆発してとんでもないことになりかねません。時代を考えるとそろそろ裁判もインターネットでの公開を少しずつ始めてもいいのではないかと思うのですがいかがでしょうか。
さて、今回はそういった事情を踏まえ、参議院調査室を使って調べてみたことを共有します。
問 現在の日本の法律で、法廷での動画撮影を規制する法律はあるのか?
答 法廷に撮影機材を持ち込んで動画撮影することについて、これを直接規制する法律はございません。
民事訴訟規則(77条)及び刑事訴訟規則(215条)では、法廷における録音、録画、放送をするためには、裁判所(長)の許可が必要とされております。
つまり、現行の規律でも、裁判所(長)の許可を得れば、動画の撮影等が可能であると考えられます。
民事訴訟規則77条
法廷における写真の撮影、速記、録音、録画又は放送は、裁判長の許可を得なければすることができない。
刑事訴訟規則215条
公判廷における写真の撮影、録音又は放送は、裁判所の許可を得なければ、これをすることができない。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。
確かに上記のような法律の下、「現行の規律でも、裁判所(長)の許可を得れば、動画の撮影等が可能」とのことです。いやいやいや、現状において果たして動画撮影の許可を出す裁判所(長)がどれほどいるのでしょうか?そもそもそんな許可を出す裁判所(長)は存在するのでしょうか?きわめて考えにくいのではないでしょうか?
と、まぁ、存在しない前提で話をしてきましたが、もし存在しているのであればどなたか教えて頂きたく思います。裁判所への一般国民によるチェックを強化することで、裁判所が???な判決を出すことはある程度予防できるでしょう。そのためには、繰り返しになりますが、裁判もインターネットでの公開を進めていくべきであると私は考えていることを改めて強調しておきます。