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妊婦や子供、がん患者さんへのワクチン接種はどう考える? 各医学系学会の声明をチェック

私は先日、ようやくコロナワクチンの1回目の接種をしてきました。

来月中旬に2回目の接種となります。さて、私はワクチン接種によるメリット・デメリットを考えた上で、基本的にはコロナワクチン接種をどんどんしていくべきと考えつつ、ワクチンに関する考え方を整理するために日々色々と考えているつもりです。

さて、世の中には様々な意見があります。それはそれとして尊重すべきとは思います。ただし、行政の責任者としては、総合的に考慮するとワクチン接種は推奨していくことになるでしょう。様々な意見を行政にぶつけることはできますが、ではその自分のアイデア(例えば、ワクチンは危ないから接種を国民に勧めない、など)を行政が導入した場合に生じた被害についての責任を自分が取れますか、となるとかなり怪しいのではないでしょうか?

話が少しそれましたが、ここでワクチンについての考え方について医学系の学会の声明をいくつか紹介しておきます。妊婦さんや小児、また難病を患っておられる方やがん治療中の方へのワクチン接種について、それなりに参考になるところはあるのではないかと思います。

・日本感染症学会

日本感染症学会 » ガイドライン・提言 » 提言 » COVID-19ワクチンに関する提言

「COVID-19ワクチンに関する提言(第3版)」に際して

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の中、わが国でもCOVID-19ワクチンの医療従事者・高齢者への接種が進み、その効果が強く期待されています。COVID-19の感染拡大防止に、ワクチンの普及が欠かせないことは言うまでもありません。しかしながら、ワクチンも他の薬剤と同様にゼロリスクはあり得ません。私たち一人一人がその利益とリスクを正しく評価し、接種するかどうかを自分で判断することが重要です。(以下略)

私はワクチンは多くの方が接種すべきと考えておりますが、接種するかどうかの判断は各人で、というのはその通りだと思います。

・日本小児科学会

新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~

要旨

・ 子どもを新型コロナウイルス感染から守るためには、周囲の成人(子どもに関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン(以下、ワクチン)接種が重要です。

重篤な基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の重症化を防ぐことが期待されます。

・ 健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(感染拡大予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。

子どもを守るために、まずは大人が接種せよ、というのはその通りでしょう。健康的な子どもへ接種は積極的でもなければ、否定的でもない、といった感じで、私は妥当な考えだと思います。

・日本産科婦人科学会

―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて―

皆さまが最も関心のある「妊婦さんへの接種」については、すでに多くの接種経験のある海外の妊婦に対するワクチン接種に関する情報では、妊娠初期を含め妊婦さんとおなかの赤ちゃん双方を守るとされています。また、お母さんや赤ちゃんに何らかの重篤な合併症が発生したとする報告もありません。したがって日本においても、希望する妊婦さんはワクチンを接種することができます。

基本的には妊婦さんへの接種を推奨する方針です。

・日本リウマチ学会

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて(患者様向け情報)

利点
重症化しにくくなる、もしくはしなくなる効果が認められていること
現在までに知られている変異にはすべて対応していること
弱毒生ワクチン(現在開発中)と違いすべての患者で投与が可能であること

欠点
ワクチンの種類が今までにないものであること
アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応や局所の強い反応が認められている
今後のウイルスの変異に対応できるかどうかがわからないこと

(中略)

日本リウマチ学会としては新型インフルエンザワクチンと同様にステロイドをプレドニゾロン換算で5mg/日以上または免疫抑制剤、生物学的製剤、JAK阻害剤のいずれかを使用中の患者は他の人たちよりも優先して接種した方がよいとしています。

利点と欠点が書いてあり、配慮が感じられます。また、免疫抑制のかかっている状態の方を対象としていることから、新型コロナウイルスに感染した際の重篤化リスクが高いために、やはり接種を推奨する方針であり、妥当な考え方だと思います。

・日本癌治療学会、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A -患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版-

Q1:がん患者はワクチンを受けた方がよいのですか。
A:前向きに検討しましょう。ベネフィットとリスクを理解し、主治医の先生と相談して判断することが大切です。

(中略)

がん患者さんのワクチン接種のベネフィットとして、発症や重症化の予防、検査やがん治療を遅滞なくより安全に進められることがあります。効果や副反応の詳細については、「COVID-19ワクチンについて」の章を参照下さい。がん患者さんにおける副反応についての調査や報告はありませんが、がん患者さんにおける重症化の可能性を考慮すると、ベネフィットがリスクを上回ると思われ接種が推奨されます。

がん患者さんが新型コロナウイルスに感染した場合の重篤化リスクを考えると、やはりワクチン接種については推奨すべし、との方針です。

どの学会でもそうですが、メリット・デメリットを考慮した妥当な声明に思えます。SNS上でしばしば見かける「ゼロか百か」の単純かつ極端な不毛な議論をしている方々には、改めてワクチン問題は単純な問題ではない、だからこそ知識を付けた上で考える必要があることを再認識してほしい所です。

最後にYouTube上で見つけた福岡放送の動画を紹介しておきます。メリット・デメリットを考えさせる良い番組であると思いました。

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