7月23日は東京オリンピックの開会式です。残り約1か月となりました。このコロナ禍でどうなるのか?大変気になるところで、先日(2021年6月18日)新型コロナ専門家有志の会が東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について、提言を出しました。
五輪「無観客が望ましい」尾身氏ら提言、感染状況問わず 朝日新聞 田伏潤2021年6月18日 13時47分
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らは18日、東京五輪・パラリンピックの開催に伴う新型コロナの感染拡大リスクに関する提言を公表した。「無観客開催は、会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましい」と明記。感染状況についての条件をつけずに、無観客での開催を求めた。
この提言については、インターネット上で公開されております。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う新型コロナウイルス感染拡大リスクに関する提言 コロナ専門家有志の会2021/06/18 20:07
(一部抜粋)
4. 無観客開催は、会場内の感染拡大リスクが最も低いので、望ましいと考える。もし観客を収容するのであれば、以下の3つの点を考慮いただきたい。
イ) 観客数について、現行の大規模イベント開催基準よりも厳しい基準の採用
ロ) 観客は、都道府県を越えた人々の人流・接触機会を抑制するために、開催地の人に限ること、さらに移動経路を含めて感染対策ができるような人々に限ること
ハ) 感染拡大・医療逼迫の予兆が探知される場合には、事態が深刻化しないように時機を逸しないで無観客とすること
無観客開催を理想としながらも、観客ありでの開催を全否定するものでもないようです(かなり厳しい条件ありですが)。
以下、この資料をピックアップしてみていくことにします。詳細が気になる方は中を見ていただくとして、自分なりに内容をまとめます。キーワードはデルタ株ではないでしょうか。
・デルタ株(インド株という名称は使わない方が望ましい)が日本にも入ってきており、まん延の可能性あり。
・デルタ株の感染力と病原性が高く、オリパラ開催に関係なく、今後医療逼迫となる可能性あり。
以下、中の資料を一部紹介します。今後の感染者数や重症者数のシミュレーション結果です。
まずは、デルタ株がない想定でのシミュレーション↓です。デルタ株がなければ重傷者病床が50パーセント埋まることはないと想定されているようです。
次に、デルタ株の影響を考慮したシミュレーション結果(右図)↓です。新規感染者数が大幅に増えることが想定されます。
次に、デルタ株の影響を考慮した場合の重症者数の推移(右図)↓です。様々なケースが想定され、場合によっては東京都内の重傷者病床数373を超える重症患者が出る可能性が想定されています。
デルタ株恐るべし、といったところでしょうか。今後の国内でのデルタ株の広がりには注視していきたいところです。デルタ株の病態についてイギリスBBCの動画が良くまとまっていると思いましたので紹介します。
また、このようなシミュレーションとその後の実際の結果がどうなるのか?については年明け以降に再確認してみたいと思います。
最後に国内のコロナ対策の専門家の中心として活躍されている尾身茂氏の著書を紹介しておきます。
尾身茂氏はWHOアジア地域における小児麻痺(ポリオ)根絶の立役者である。21世紀最初の公衆衛生の危機であったSARS対策でも陣頭指揮をとり、日本に戻ってからは新型インフルエンザ対策で活躍した。3.11後の医療・社会についても発言。本書は感染症と闘い続けた尾身氏の奮闘記、エッセイ。志とは?覚悟とは?己との格闘とは?自ら道を拓こうと欲する、君たちに贈る――