新型コロナウイルス感染症が問題となって1年6か月になろうとしています。一日も早くこのコロナ禍が収束してほしいというのは多くの人々の共通の願いではないでしょうか。
さて、このコロナ禍に限らない話ではありますが、様々な情報が飛び交います。このコロナ禍においても当然、様々玉石混交の情報が出回ります。
様々な情報に触れたときに、このような↓気持ちは大事にしたいところです。
さて、このコロナ禍において、新型コロナウイルス感染症やワクチン等の情報については、誤った情報の場合は命の危機に関わる話ですので、情報の扱いには慎重にしたいところです。
では、情報をどう扱うのか?
私が医学部在学中には次のようなことを勉強しました。エビデンスにはレベルがある、というものです。全ての情報を対等に扱うべきではなく、信頼性にはそのレベル(高低)があることを知っておくべきと考えます。
具体的には次のようなものです。
今さら聞けない医学統計の基本 医学統計の基本シリーズ第1回:臨床研究の種類と特徴 解説4:解説(研究デザインとエビデンスレベル)
若林:エビデンスレベルという言葉は、ガイドラインでよく目にします。
円城寺:若林君の言うとおり、ある治療方法の効果が質の高いエビデンスで裏付けられているかは、とても重要なポイントです。では、何をもって質の高いエビデンスというか分かるかな?(以下略)
図 エビデンスレベルのランク
(出典:山崎力、小出大介:臨床研究いろはにほ、31ページ、ライフサイエンス出版、2015(一部改変))
上に行くほど信頼性が高くて、下に行くほど信頼性は落ちます。
若干専門用語が混じっていて、一般の方にとっては抵抗感があるかもしれませんが、ざっくりと理解いただけるように下から順番に説明します。
まず、Ⅵ「専門家の意見」は一番下に位置しており、信頼性は低いです。それが例えノーベル賞受賞者であっても、です。専門家でもない人の意見であれば言うに及ばず、です。文系の学問ならいざ知らず、医療であれば偉い人の単なる感想よりも客観データの方が重視されるのは当然の話です。
次に、Ⅴ「記述研究(症例報告)」ですが、これは例えば患者1名(あるいは数名)についての治療報告書のようなものです。実際の事例ですので信頼性がないとは言えませんが、再現性には大いに疑問符がつきます。
次の、Ⅳ「疫学研究(コホート研究/症例対照研究など)」Ⅲ「非ランダム化比較試験」Ⅱ「ランダム化比較試験(RCT)」はいずれも多数(集団)のデータを分析したものになり、これまでのものより信頼度は上がるというのは納得できるのではないでしょうか?
次回以降、残りのⅣ、Ⅲ、Ⅱ、Ⅰについて書いていきたいと思います。特にⅡ「ランダム化比較試験(RCT)」は非常に重要なので、多くの人にその概念を知ってほしいところです。
参考図書は多数ありますが、ひとつだけ紹介しておきます。