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国家安全保障の観点における土地利用・管理の在り方に関する質問主意書 ←丸山穂高衆議院議員2020年11月提出

今回は、令和2(2020年)11月20日に丸山穂高衆議院議員が提出した質問主意書を紹介します。

質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。

質問主意書とは(参議院)

特徴

質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。

議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。

質問主意書(参議院)

質問主意書(衆議院)

今回は、外国人による国内の土地購入と安全保障上の問題についての質問です。外国人が国内の土地購入に関して、特にこれといった制限がないことについてはネット上では常に問題提起されています。例えば自衛隊基地や原子力発電所の近くの土地などは、仮に敵国勢力が所有するとなると安全保障上は問題があるかもしれません。これについて政府が対策に乗り出しつつあるようです。

先月(2020年11月)、「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」の初会合がありました。ここでの提言をまとめ、来年の通常国会で関連法案の提出を目指すとのことです。

そういうことで、今後の政府の対応について皆様の参考になると思いこの質問主意書を記事にさせてもらいました。

今回紹介する質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。

国家安全保障の観点における土地利用・管理の在り方に関する質問主意書

 外国人及び外国資本による土地取得の問題については、平成二十五年十二月十七日に閣議決定された国家安全保障戦略において、「国家安全保障の観点から国境離島、防衛施設周辺等における土地所有の状況把握に努め、土地利用等の在り方について検討する」と明記されて以降、七年になろうとしているが、政府は、いまだ具体策を提示するには至っていない。
政府は、去る十一月九日、「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」の初会合を開催した。年内に有識者会議の提言をまとめ、来年の通常国会で関連法案の提出を目指すとも報じられている。
そこで、政府のこれまでの取組と課題について、以下のとおり質問する。

一 令和二年二月二十五日の衆議院予算委員会第八分科会において、山本ともひろ防衛副大臣は、「約六百五十の防衛施設について、二〇一七年度、平成二十九年度までに一巡目の調査を終えております。防衛施設周辺の継続的な状況把握の観点から、引き続き二巡目の調査を現在行っているところです。これまでの調査の結果、住所が外国に所在している、あるいは氏名から外国人と推察される方の土地が都内二十三区内において五筆確認をされています。ですが、現時点で、防衛施設周辺の土地の所有によって自衛隊の運用等に支障が起きているということは確認をされておりません」と答弁している。

1 「約六百五十の防衛施設」周辺の土地について調査を行ったとのことだが、自衛隊施設だけでも全国に約二千四百施設あると承知している。在日米軍の施設を含めた調査か否かを含め、調査対象及び選定基準を明らかにされたい。

2 「防衛施設周辺の土地」とは、どこまでの範囲を指すのか、その定義を明らかにされたい。また、境界線を接する土地のみを対象とした調査にとどまっているとすれば、防衛施設を中心とした一定の範囲の土地や周辺における戦略上重要な土地を調査対象にすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

一の1及び2について
お尋ねの調査は、自衛隊の施設並びに日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二条第一項の施設及び区域(以下「防衛施設」という。)の隣接地並びに隣接地が道路又は河川の場合は道路等を挟んで防衛施設と相対する土地(以下「隣接地等」という。)の状況把握の観点から防衛省において行っている調査(以下「本件調査」という。)であり、司令部機能を有する防衛施設等、防衛施設の用途及び隣接地等の状況等を踏まえ、調査対象を選定しているところである。
また、お尋ねの「防衛施設を中心とした一定の範囲の土地や周辺における戦略上重要な土地」を調査対象とすることについては、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇」(令和二年七月十七日閣議決定。以下「骨太方針」という。)において、「安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用・管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる」とされているところであり、これを踏まえ、現在、政府として土地所有の状況把握のための調査の在り方等について検討しているところである。

3 土地所有の状況把握は、不動産登記簿の登記名義人を確認することにより行っているものと推察されるが、権利者の国籍は登記事項ではない。また、実際の資本関係を確認することも困難と思われるが、外国人及び外国資本であるか否かの確認方法を含め、調査方法を明らかにされたい。

4 前記の答弁中、「住所が外国に所在している」とは、登記簿上の住所が海外であるものを指すにすぎないのか、また、「氏名から外国人と推察される方」とは、登記簿上の氏名の表記の仕方(中国人などを除き外国人の氏名はカタカナによって表記される。)を基に推察したにすぎないのか、判断方法を含めて明らかにされたい。また、五筆の土地の地目及び地積を明らかにされたい。

一の3及び4について
本件調査は、隣接地等の所有者について、登記事項証明書により登記名義人の氏名及び住所等を確認し、さらに、所有者が法人の場合は、商業登記簿により本店の所在地等を確認する方法で行っており、御指摘の答弁における「住所が外国に所在している」とは、登記名義人の住所が外国であったものであり、また、御指摘の答弁における「氏名から外国人と推察される方」とは、登記名義人の氏名の表記から外国人と推察された者である。
お尋ねの五筆は、登記名義人の住所が外国であり、かつ、氏名の表記から外国人と推察される者の土地として確認されたものであり、調査時の登記事項証明書の地目は全て宅地、地積の合計は約二千二百平方メートルであった。

5 現在、二巡目の調査を行っているとのことだが、一巡目の調査よりも詳細な調査を実施しているのか、調査予定期間と併せて説明をされたい。なお、一巡目と調査対象や調査方法等が異なるのであれば、調査対象及びその選定基準、対象施設周辺の土地の範囲及び調査方法の相違点等について、詳細に説明されたい。また、調査の進捗状況及び現時点までに把握できた土地の所有状況を明らかにされたい。

一の5について
二巡目の本件調査も一巡目と同様、隣接地等について、一の3及び4についてで述べた方法により行っており、調査対象については、一巡目の本件調査の結果を踏まえ、国有地や海のみに接している防衛施設等を除き、一巡目以降に新たに設置された防衛施設を加えた約六百四十施設を予定している。
また、二巡目の本件調査は、平成二十九年度に着手し、本年度中に完了する予定であるが、現在把握しているのは令和元年度末時点で調査が完了した約五百二十施設についてであり、登記名義人の住所が外国であり、かつ、氏名の表記から外国人と推察される者の土地として確認されたのは、一の3及び4についてで述べた五筆のみであった。

二 本年十一月八日の産経新聞において、「安保重要地 買収八十カ所 政府調査 中国資本、離島など」との見出しで、「中国系資本が何らかの形で関与した疑いがある安全保障上重要な土地の買収件数が全国で約八十カ所に上るとの調査を政府関係機関がまとめていた」と報道されているが、報道にあるような調査を実施した事実はあるのか、明らかにされたい。また、調査を実施したのであれば、調査結果を示されたい。

二について
個々の報道の内容に関し、政府としてコメントすることは差し控えたい。

三 平成三十一年三月二十二日の参議院予算委員会において、宮腰光寛国務大臣は、「内閣府においては、不動産登記簿の収集と併せて、収集した不動産登記簿について、所有者の住所、氏名、登記の年月日等の登記情報の確認作業を行っている」、「これまでに、無人国境離島三十九島、有人国境離島五十九島の領海基線の近傍の土地を対象に不動産登記簿の確認を行っておりますが、現時点では、外国に所在する者が国境離島の領海基線の近傍の土地を所有している事例は確認をしておりません」と答弁している。

1 「領海基線の近傍の土地」とは、どのような範囲をいうのか、調査対象及び選定基準を明らかにされたい。また、領海等の外縁を根拠付ける基線は、私有地がある九十八の国境離島に何か所存在し、そのうち何か所の土地を調査したのか、調査対象及び選定基準を明らかにされたい。また、「領海基線の近傍の土地」の調査は、領海の保全や海洋権益の確保を目的としたものと思われるが、更に私有地全体に調査を拡大することについて、政府の見解を示されたい。

三の1について
御指摘の答弁における「領海基線の近傍の土地」とは、領海基線(有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(平成二十八年法律第三十三号)第二条第一項第一号に規定する領海基線をいう。以下同じ。)のいずれかの点から最も近い土地をいい、そのうち登記簿に登記事項が記録されているものについて調査を行った。また、お尋ねの「領海等の外縁を根拠付ける基線」の意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣府における調査は、御指摘の答弁における「無人国境離島三十九島」については全域において、御指摘の答弁における「有人国境離島五十九島」については領海基線の近傍の土地である約三百五十筆全てにおいて行った。お尋ねの「私有地全体に調査を拡大すること」については、一の1及び2についてで述べた骨太方針の内容を踏まえ、政府として土地所有の状況把握のための調査の在り方等について検討しているところである。

2 前記の答弁中、「外国に所在する者」とは、登記簿上の住所が海外であるものを指すにすぎないのか、また、氏名から外国人と推察される者は確認されていないという理解でよいのか否かを含め、外国人及び外国資本であるか否かの確認及び判断の方法について説明をされたい。

三の2について
御指摘の答弁における「外国に所在する者」とは、登記事項証明書における登記名義人の住所が外国に所在する者及び氏名の表記から外国人と推察される者をいう。

3 前記の答弁では、「現時点では、外国に所在する者が国境離島の領海基線の近傍の土地を所有している事例は確認をしておりません」とのことだが、その後の確認作業の進捗状況及び現時点までに把握できた土地の所有状況について、明らかにされたい。

三の3について
現時点で調査対象の土地全ての調査を完了しており、外国に所在する者が所有する土地は確認していない。

四 国家安全保障の観点から重要な土地としては、国境離島や防衛施設周辺等のみならず、空港、港湾及び原子力発電施設の周辺地なども考えられるが、関係各府省庁において、土地所有の状況把握を実施しているのか、事実関係を明らかにされたい。また、実施していない場合には、その理由を示されたい。

四について
お尋ねの「国家安全保障の観点から重要な土地」の土地所有の状況把握については、一の1及び2について及び三の1についてでお答えしたとおり、内閣府及び防衛省において実施しているが、これ以上の詳細については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい。

五 国境離島や防衛施設周辺の土地の所有状況の把握は、不動産登記簿の確認により行っているものと理解しているが、不動産登記制度は、権利者の追跡や把握を目的とするものではなく、また、権利の変動が生じた場合でも、その登記が申請されない限り、新たな権利者を把握することは不可能であり、所有者不明土地等への対応も大きな課題になっていると承知している。不動産登記簿に基づく調査では、外国人及び外国資本による土地取得の実態を把握するのは困難と考えるが、これまでの調査の実情を踏まえて、政府の認識を示されたい。

六 土地の所有や管理等に関しては、不動産登記法、外国為替及び外国貿易法、国土利用計画法、森林法などに基づく担当行政庁への届出や申請の情報があるが、各法令で定める目的以外に当該情報を用いるためには、法令上の根拠が必要となる。外国人及び外国資本による土地取得の実態を把握する上では、所有者不明土地問題の解決を急ぐのと並行して、調査主体を定めて法的権限を付与し、各行政庁から情報提供を得られるようにするなど、新たな法整備も検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

五及び六について
一の1及び2についてで述べた骨太方針の内容を踏まえ、現在、政府として土地所有の状況把握のための調査の在り方等について検討しているところである。

右質問する。

これまでの政府の取組、そして今後の方針など、読んでいて色々と勉強になります。国防に関する件ということで、質問内容によっては詳細を答えられないのは致し方なしと考えます。

とは言え、質問一の1において、「自衛隊施設だけでも全国に約二千四百施設ある」ことについてはしっかりと答弁してほしいような気はします。

とにかく、次の通常国会で関連法案が提出されるようなので、注目します。

外国人土地法(Wikipedia) ←戦前の法律でこのようなものがあるようです。

この質問主意書を提出した丸山穂高衆議院議員に感謝します。

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