国会議員には、その立法活動などを行うために国会で様々な調査活動を手伝ってくれる環境が整っています。ひとつは以前紹介した調査室があります。
この他に、国立国会図書館もあります。
国立国会図書館は、国会に属する唯一の国立の図書館です。国会法第130条の規定に基づき、国立国会図書館法により設置されています。
「議員の調査研究に資するため、別に定める法律により、国会に国立国会図書館を置く。」
(国会法 第130条)
私はこれまで調査室だけでなく国会図書館にも調査をお願いしてきました。いずれも非常に心強い存在です。
さて、先日、国会図書館にある法律について調査を依頼し、その回答が返ってきました。その法律とは、アメリカにおける共産党を非合法化する法律です。
自由の国アメリカと言いますが、この国でこのような自由に制限をかける法律について不思議に思っていました。今回、国会図書館に簡潔にまとめていただきまして、是非とも共有したいと思います。
1950年代に制定された米国共産党非合法化法の概要及び意義(PDF 1MB)
1 概要
1940年代後半から1950年代前半にかけて、アメリカでは、国内での共産主義勢力の浸透を防ぎ自国の体制を維持するため、複数の立法措置が採られた。
「共産党の非合法化」については、1954年に「共産主義者取締法」が制定されている。(中略)
1954年に制定された「共産主義者取締法」(以下、1954年法とする。)は、上の 1950年法を強化したものとされている。1954年法は、その第2条において、「共産党は明瞭な現存する危険であるから『非合法化されるべきものである』(“……Therefore the Communist Party should be outlawed“ Sec.2, Findings of Fact)」とし、共産党及びその後継団体の法的権利を制限するとともに、司法省への登録を義務付ける団体に新たなカテゴリーを追加した。
(中略)
2 意義・評価
1954年法は、その主要部分が合衆国法典第50編第23章に編入され、現在も維持されている(第841~844条)。
しかし、1954年法の発動の機会は制定当初から限定的で、共産主義勢力の実際の取締は、先に制定されていた1950年法や暴力による政府転覆を図ること一般の処罰を目的とする「外国人登録法」などに基づいて行われていたようである。(中略)
※このように、1954年法の目的は、完全な非合法化とは言えないと解する立場が通説とされる。一方で、他の反共主義的立法と合わせると、共産党は形式的にも実質的にも封じ込まれることになり、完全な非合法化であったという説もある。
かなり抜粋したので、興味のある方は是非とも↑のリンク先を見てもらえればと思います。
法律は1950年代に成立し、現在も維持されています。「共産党は明瞭な現存する危険」という表現が特徴的だと思いました。現在の日本でこのような法律が成立することはまずなさそうですがいかがでしょうか。