2018年12月に水道法が改正されました。一部では「水道民営化」と言われますが、正確性に欠ける表現です。
この件については、KAZUYAさんの動画でうまくまとめられているように思います。
今回は前回の記事の続きになります。
これまでの記事のポイントのみを簡単に復習しておきます。
・民営化ではなく、コンセッション方式である。→免許制度のこと。
・コンセッション方式を導入するかどうかは各自治体の住民が決める。
・海外での水道事業のコンセッション方式は一部再公営化の事例があるものの、多くは民間委託が継続している。
・民間事業者委託の際に、水の安全性について厚労省が確認して許可を出す。
以上をもとに、水道事業のコンセッション方式について厚労省の資料「よくある質問」から引き続きポイントを抜粋していきます。
水道法改正法 よくあるご質問にお答えします – 厚生労働省(PDF)
問5 コンセッション方式を導入した場合、水道料金が高騰しませんか?
○ 我が国の制度では、まず地方自治体が、PFI法に基づき条例で料金の枠組み(上限)をあらかじめ決定します。民間事業者は、その範囲内でしか料金設定ができません。
○ これに加え、今回の法改正により、厚生労働大臣が適切な料金設定であることを確認した上で、許可する仕組みとしています。
問6 コンセッション方式を導入した場合、民間事業者への監督はどのように行われるのですか?
○ 我が国の制度では、まず地方自治体が、PFI 法に基づき民間事業者の業務内容や経営状況について定期的にモニタリングを行い、早期に問題を指摘し、改善を要求します。
○ これに加え、今回の法改正に基づき、厚生労働大臣が地方自治体のモニタリング体制が適切かを確認した上で許可するとともに、厚生労働省が直接、報告徴収・立入検査します。
以上からは、ここでは次の2点注目したいと思います。
・民間事業者委託の際に、厚生労働省が適切な料金設定であることを確認した上で許可を出す。
・民間事業者に委託した後には、地方自治体と厚生労働省の両者がともに民間事業者の監督する。
民間事業者に委託すると、水道料金が高騰するのでは、という懸念が聞かれますし、確かにその心配はもっともだと思います。1点目はその水道料金はどのように設定されるのか、の説明です。厚生労働省が確認するということです。個人的には、水道料金高騰の心配よりは、民間事業者が参入を検討したにもかかわらず、採算がとれなさそうということで、民間事業者が1社も手を挙げない自治体が出てくる可能性を考慮しています。
僻地に好んで住む以上、ずっと同じ公共サービスは受けられないと覚悟して貰わないと若い世代が死にます。
水道法を改正しても、そもそも引き受ける企業があるのかとか誰も考えてない件 https://t.co/gdH9Eaj5D9 @Isseki3さんから— Isseki Nagae/永江一石@「虎の穴」 (@Isseki3) December 6, 2018
この話題については、今後も引き続き何回かに分けて記事を書いていきます。