最近の日本では遭遇することがまずない感染症の一つとしてペストが挙げられます。
私のスマートフォンアプリ「内科学第10版」から基本的なところを一部抜粋していきます。
・ペスト菌によっておこる疾患。
・感染症法で一類感染症 → 危険性が極めて高いとされる。
・ヒトペストは、腺ペスト、敗血症ペスト、肺ペストの3つに大別され、このうち腺ペストの頻度が圧倒的に多い。
・ヒトはノミにかまれてペスト菌に感染する。肺ペスト(↓で説明あり)患者の喀痰によるヒト‐ヒト感染あり。
・生物兵器として使用された歴史あり。
・歴史上、ペストは何度も流行し、大量の死者を出して黒死病としておそれられた。
・1926年以降、日本国内でペスト患者の発生なし。
・世界全体では現在でも毎年2000例以上発症あり。その多くがアフリカ。
・腺ペストの症状は、数日の潜伏期後に急激な発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、関節痛、倦怠感など。下肢をかまれての感染が多く、鼠経リンパ節腫脹を伴いやすい。
・肺ペストは腺ペストの末期に肺炎として発症する。また、バイオテロではペスト菌エアロゾルを吸入して発症。
・腺ペストは予後不良だが早期から治療を行えば治癒可能。
・肺ペストは病気の進行が極めて早いのですぐに適切な抗菌薬治療を開始しないと死に至る。
というわけで、恐ろしい病気です。
なぜ、これを取り上げたかというと、中国で流行の兆し?があるからです。調査室にニュースを教えてもらいました。
中国の腺ペスト症例、高リスクではない=WHO(ロイター・20200707)https://jp.reuters.com/article/china-health-plague-who-idJPKBN2481BB
中国・内モンゴルで腺ペスト感染者 当局が予防策を強化(BBC・20200706)https://www.bbc.com/japanese/53304300
中国でまた腺ペストの感染者、28人隔離 野ウサギが原因か(CNN・20191119)https://www.cnn.co.jp/world/35145594.html
WHOは高リスクではない、とのことですが、信じていいものか…。明治時代には中国のペストが日本に上陸したことがあり(↓の書籍参照)、似たようなことが起こらないことを願います。