今回は(も?)、私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。2020年6月15日に提出したものです。
質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。
特徴
質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。
議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。
で、私の提出した質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。
今回の質問主意書は、とある方から相談をいただき、提出したものです。
西武信金の不正融資問題に関連して、西武信金や関係者への捜査をもっとしてほしい、といった要望でした。相談の上、質問主意書としてその相談内容を形にすることにしました。
国がお墨付きを与えた西武信用金庫による不正融資に対する政府の調査姿勢に関する質問主意書
二〇一九年五月二十四日、関東財務局は西武信用金庫に対して不適切な行為が多数見つかったとして業務改善命令を発した。これを受けて西武信用金庫からも同日、業務改善命令を受けた内容を発表している。それぞれの内容を抜粋すると次のとおりである。
(1)関東財務局発表資料から抜粋
「投資用不動産向けの融資にあたり、形式的な審査にとどまり、不適切な信用リスク管理態勢となっている。」
「投資目的の賃貸用不動産向け融資について、融資期間に法定耐用年数を超える経済的耐用年数を適用する場合には適切な見積りが不可欠である中、経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為が多数認められる。」(2)西武信用金庫発表資料から抜粋
「経済的耐用年数等を証する書面を作成する外部専門家に対し、当金庫職員が耐用年数や修繕費用等を指示・示唆するなどの不適切な行為と思われる件数
現存する十八か月間のメールでのやりとりからは二百五十八物件あると確認しています。この期間内の同書面の数との比較では約一割に相当します。」
インターネット上で見ることのできる多数の資料から判断するに、西武信用金庫は二〇一四年ごろから「経済的耐用年数を用いた融資」に積極的に取り組んでおり、その取組みは当時金融庁長官であった森信親氏から称賛され、国土交通省や不動産鑑定士協会連合会もバックアップしていたと承知している。すなわち、本質問主意書で問題としている西武信用金庫による融資を利用したビジネスは、当時としては国がお墨付きを与えるビジネスモデルだと思われてもおかしくない状況であったと考える。
そこで、以下質問する。一 今回のような不正融資の今後の再発防止や注意喚起を目的として、証拠の残っていた二百五十八物件の詳細状況について、可能な範囲で開示するつもりはあるか。既に開示しているのであれば現状報告もお願いしたい。
一について
お尋ねの「証拠の残っていた二百五十八物件の詳細状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、金融機関の個別の融資事案の詳細については、当該融資先の正当な利益を害するおそれがあること等から開示を行うことは困難である。
なお、金融庁においては、行政処分の内容及び理由について、他の金融機関等における予測可能性を高め、同様の事案の発生を抑制する観点から、公表を行っており、御指摘の関東財務局による西武信用金庫に対する行政処分についても、同様の趣旨により公表を行ったものである。二 この不適切な行為は専門家が関与した虚偽の評価に基づく過剰融資であると考えるが、専門家が関与した虚偽の評価に基づく過剰融資は犯罪が成立するための構成要件に該当するか。政府の見解を伺いたい。
二について
お尋ねについては、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であり、お答えすることは差し控えたい。三 最低でも二百五十八件の不適切な行為に不動産鑑定士や建築士といった専門家が関与していると考えられる。不動産鑑定士が関与した場合、不動産鑑定評価に関する法律及び不動産鑑定評価基準に違反する行為となる可能性がある。この点に関して、違反の有無の調査をすべきではないかという旨の提言を国土交通省や金融庁へした方からの私への報告によると、国土交通省や金融庁からは調査をする気が見受けられないとのことである。そこで改めて質問するが、政府として、西武信用金庫の不正融資に関わった不動産鑑定士や建築士などの専門家による不正を調査するつもりはあるか、見解を伺いたい。
三について
本件に関与した不動産鑑定士等の調査については、個別の事案に関することであり、また、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法七十五条二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。また、答弁書の文字がいわゆる青枠の五ミリ以内に収まっていなくてもかまわない。
今回の質問主意書の件で相談者の方によると、西武信金の融資に協力したものとして、建築士や不動産鑑定士が、不当?な不動産鑑定評価をした可能性があるとのことでした。今後どうなるかは分かりませんが、相談者の方の意向に沿うような結果が出ることを願っています。
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