今回は(も?)、私が参議院に提出した質問主意書を紹介します。2020年6月11日に提出したものです。
質問主意書とは何か?については以前の記事を一部引用させてもらいます。
特徴
質問主意書の最大の特徴は、本会議や委員会において議題の範囲内で口頭で行う質疑とは異なり、国政一般について問うことができることです。また、内閣の見解を確実に引き出せること、法律案と異なり議員1人でも提出できることも特徴となっています。
(中略)また、議員一人でも提出することができるので、所属会派の議員数等による制約もありません。
さらに、答弁書は、複数の行政機関にまたがる事項であっても、必ず関係機関で調整され、閣議決定を経て、内閣総理大臣名で提出されます。このため、内閣の統一見解としての重みがあります。
議員一人で提出することができ、その返答は内閣の統一見解であるということです。政府に問うという性質上、野党議員がたくさん提出しています。
で、私の提出した質問主意書はこちら↓。本来は質問書と答弁書は別なのですが、質問→答弁(赤字)の順に配列しました。
満員電車をなくすためのダイナミック・プライシングの実施に関する質問主意書
新型コロナウイルス感染症の感染予防対策として、満員電車をなくすことは、所謂、政府が推進している「新しい生活様式」の一つとしても重要なことであると考える。政府がテレワークを推進していることも、満員電車をなくすための施策の一つだと理解している。一方で、テレワークだけでは遂行できない業務・業種があることも理解している。
しかし、緊急事態宣言が解除されてから、東京都内の電車の乗客数は、随分増加していることは明らかである。
二〇一六年の東京都知事選挙で、小池百合子氏(現東京都知事)は「満員電車ゼロ」の公約の実現方策として「二階建ての車両を導入する」ことを掲げた。あれから四年が経過するわけだが、湘南新宿ラインの一部車両に見られるような二階建て電車が大増設される動きもなければ、満員電車も一向に解消されていない。
そこで、満員電車対策として「ダイナミック・プライシング」によって解決したらどうだろうか。「ダイナミック・プライシング」とは、商品やサービスの価格について、一定の標準価格を設定し、その商品・サービスの売れ行きにより価格を随時変動させる仕組みである。かねてより、サービスの分野では、集客が見込めるサービス(例えば、スポーツ観戦チケットにおける、人気チームとの対戦カード)の価格を高めに設定し収益を増やす一方、集客の見込めないサービスは価格を下げて集客数を増やす戦略が行われており、これが「ダイナミック・プライシング」の端緒ともいえるが、近年ではこれを進化させ、過去の販売実績データなどのビッグデータを人工知能(AI)が学習して売れ行きを予測し、販売状況に応じて収益最大化が見込める最適価格をシステムが推奨し、その推奨価格を参考にして価格を随時変動させる仕組みが導入されている。
今回提案する「ダイナミック・プライシング」のやり方はいたって簡単で、新幹線のグリーン車やグランクラスを普通席より高く、飛行機のビジネスクラスの値段をエコノミークラスの五倍程度にするのと同じように、満員になる時間帯の乗車券を高く設定するだけである。通勤・通学ラッシュの時間帯でのダイナミック・プライシングは、一、二時間限定で構わない。大勢の人が殺到する朝と夕刻の時間帯に限定して、電車賃を高くする。需要が高まれば高くなる、当たり前の市場原理である。
このように時間帯によって料金を高くすることで、交通費支給額を低く抑えたい企業側の思惑と相まって、満員電車は緩和されるだろうし、高い料金を避けることが結果として、満員電車を緩和し、分散通勤・分散通学、さらには、テレワークの推進・働き方改革にもつながるのではないだろうか。
現行制度上でこのような運賃の決定方法を鉄道事業者が実現するには、まず現行運賃の上限引き上げを鉄道事業法十六条一項に基づき国土交通大臣に認可申請を行い、認可を受けた後、運賃引き下げの方法を同法十六条三項に基づき国土交通大臣に届け出る、という方法を取ることになると思われる。
右を踏まえて、以下質問する。一 政府が現在検討している満員電車をなくすための具体的な施策、または、これからやろうとしている施策にはどのようなものがあるか。
一について
鉄道の混雑緩和のため、これまで政府としては、鉄道事業者による輸送力の増強や、鉄道事業者等と連携した鉄道利用者への啓発活動等による時差通勤等の推進を図ってきたところであり、引き続き、鉄道の混雑緩和に向けたこれらの取組を進めてまいりたい。二 ダイナミック・プライシングの導入は満員電車を解消すると思うか。政府の見解は如何。
二について
お尋ねの「ダイナミック・プライシングの導入」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。三 鉄道事業者がAIを用いて運賃の割引率を決定するため、鉄道事業法施行規則三十三条に基づいて運賃(料金)設定(変更)届出書(以下「届出書」という。)を届け出る際について
1 ビッグデータをもとにAIが日ごとに乗車時点の時刻によって運賃の割引額を決定する場合、AIが学習するためのビッグデータ等を全て紙に印刷することは現実的ではない。ハードディスク等を用いて、ビッグデータ、AIの概要、AIが作成した成果物を届出書に添付しなければならないか。それとも、AIの概要を届出書の別紙に添付すれば足りるか。あるいは、他の手法を取ることになるのか。
2 日ごとに乗車時点の時刻によって運賃の割引額を決定する場合、毎日届出書を国土交通大臣に届け出なければならないのか。それとも、AIによるダイナミック・プライシング導入時に届出書を国土交通大臣に届け出るだけでよいのか。
三について
鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第十六条第三項の規定に基づく届出については、鉄道事業法施行規則(昭和六十二年運輸省令第六号)第三十三条の規定に基づき、鉄道事業者が、設定し、又は変更しようとする旅客運賃等の額、その適用方法等を記載した届出書を、当該旅客運賃等の適用前に提出することにより行うこととなっているが、お尋ねについては、御指摘の「AIによるダイナミック・プライシング導入」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、本質問主意書については、答弁書作成にかかる官僚の負担に鑑み、転送から七日以内での答弁は求めない。国会法七十五条二項の規定に従い答弁を延期した上で、転送から二十一日以内には答弁されたい。また、答弁書の文字がいわゆる青枠の五ミリ以内に収まっていなくてもかまわない。
答弁書の内容はともかく、この質問主意書のテーマであるダイナミック・プライシングについては少しずつ動きが出てきつつあります。
今後は鉄道だけでなく、高速道路などにも適応が進んでいけばと思います。
ところで、NHKから国民を守る党では、NHK集金人や受信料に困っている人々向けにコールセンターを開設してあります。困った方はお電話してみてはいかがでしょうか。番号は 03-3696-0750 です。年末年始を除く毎日午前9時~午後11時まで相談を受け付けています。