先日、ニューズウィーク日本版で次のような記事がありました。
ニューヨークと東京では「医療崩壊」の実態が全く違う ニューズウィーク日本版 2020年05月14日(木)
記事内で紹介されていましたが、ニューヨークでは医療崩壊が起こっていたようです。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いていた米ニューヨーク州、ニュージャージー州では、5月に入って感染の勢いが明らかに沈静化してきました。それでも、まだ一日ごとの死亡者数は両州ともに200人弱という水準で、日々の定例会見ではクオモ知事もマーフィー知事も厳粛な姿勢で数字を発表しています。
(中略)
そうではあるのですが、この間の感染のピークにあたっては、病床や医療従事者の不足により救命できる患者の救命ができなかったケースも出ています。それ以前の問題として、無保険者、不法移民などで医療サービスを受けられずに在宅死した例は多数に上っており、明らかに医療崩壊が現実に起きていたと言えます。
一方、ニューヨークの状況に比べると、東京に関しては予断は許さないものの、何とか持ちこたえたと言ってよいのではないかと思います。記事内では次のように紹介されています。
一方の東京都の場合は、感染が4997人、死亡が203人。死亡者数で言えばニューヨーク州のまさに100分の1、人口あたりでは67分の1ですから、感染爆発は阻止できたと言っていいでしょうし、指定医療機関の制度や指定された病床が一時的にあふれた中で、原則として柔軟な例外措置を控えたために起きた問題と言えます。
この記事で興味深いのが記事の最後の分析になります。
ですから、同じ医療崩壊といっても、ニューヨークと東京の場合は全く内容は異なります。そして、全体としては東京はなんとか持ちこたえ、ニューヨークは事態を後追いするだけで精一杯だったのは客観的事実だと思います。
それにもかかわらず、ニューヨークの場合は知事への信頼も高く、医療従事者への称賛の声にあふれているのは、あくまで文化的な問題だと思います。日本の場合は、全体的には成功しているのに反省的であったり、批判が絶えないわけですが、これもそういう文化だからだと思います。
今回の件では、良い意味で日本人の国民性を感じています。
ニューヨークが経験した状況から学ぶべきは、今回の新型コロナウイルス感染症は致死率は低いとはいえ感染爆発を起こしてはいけないということだと思います。
東京に感染者が多いということは「致死率」が下がるからいいじゃないか、という意見がありますがそれは間違い。致死率は関係ないんです。患者が増えれば死亡者が増えるわけで。率より数が大事(説明は端折ります。理解できん、という方はご自分で考えてくださいごめんなさい)。
— 岩田健太郎 Kentaro Iwata (@georgebest1969) April 23, 2020
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